【連載】特別支援教育の根本 2 障害を正しく理解しているか

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

障害とは何かについて考えてみたい。

一般的にいうならば、生活の困難さと考えたい。人間誰しも年をとれば、障害が出てくる。「見えにくい」「聞こえにくい」「聞いたことをすぐに忘れてしまう」「体が不自由になる」など、若いときにはなかったことが起こって、生活が困難になる。それも人によって違う。ある人は50歳代に起こる。こういう障害は中途障害といわれる。

普通、教育では障害を、人間の成長・発達過程で起こるものを中心に捉えている。しかし、成長・発達が終わって以降も、病気や交通事故、加齢などによっても障害が起こる。

前回、障害についてのスウェーデンの中学校教科書の記述を述べたが、特別視することなく、平易な説明であった。人は誰でも障害をもつ。人間に属する個性のようなものである。その個性と考えるには、耐えられないような重度、重複の障害がある。そこで医療での治療、教育での能力伸長、福祉サービス等で社会的不利にならないようにすることが必要になる。

教育としては、学習面や生活面で困難があるならば、それに対する配慮が必要となり、その配慮に基づいた教育・支援が大切となる。

その配慮とは、06年12月13日に国連総会で採択され、14年1月20日に日本が批准した障害者権利条約における「合理的配慮」である。同条約第2条はその定義を「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう」としている。

また同24条には、教育についての障害者の権利を認め、この権利を差別なしに、かつ機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容する教育制度(インクルーシブ教育)等を確保することとし、その権利の実現に当たって確保するものの1つとして、「個人に必要とされる合理的配慮が提供されること」を位置付けている。

特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告によると、「合理的配慮」として、(1)教員、支援員等の確保(2)施設・設備の整備(3)個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮――をあげている。

ここでいう「合理的配慮」では、障害者に対する環境や他の人々の態度などをどう整えるかが課題となる。さらに、障害があって困難になっている児童生徒への教育内容、指導・支援などだけでなく、困難を改善・克服するために必要な知識、技能、態度、習慣を養うように配慮することが大切である。

具体的な「合理的配慮」については、いずれ、障害種別ごとに述べてみたい。

さて障害については、まず指導する教員自身が正しい理解をしなければならない。それは、特別支援教育が全ての学校で実施されるようになったからには、当然である。

次に障害の理解を、障害のない児童生徒にどのように図っていくかが重要になる。わが国が共生社会を目指し、安心して住みやすい社会環境をつくるためには、障害のない人、健常者が障害者の立場になって考えることが出発点である。

特別支援教育が実施され、はや7年が経過した。平成19年4月1日付の特別支援教育の推進についての通知は、「障害のある同級生などの理解についての指導を行う際は、幼児児童生徒の発達段階や障害のある幼児児童生徒のプライバシー等に十分配慮する必要がある」と述べている。今いじめが社会問題化して、いじめ防止対策推進法ができた。障害のある児童生徒等がいじめに遭うことがないように特別な配慮が求められる。

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