【連載】特別支援教育の根本 3 教育が対象としている障害

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

前回に続いて日本での障害観、特に教育の対象としての障害について考えていこう。

医学、福祉、教育では障害をどう考え、対応しているか。医学、医療等で検査、診断、療育等を受け、教育段階で障害に基づく教育・支援を行っているが、医学、福祉等との関連を考えながら理解することが必要である。

80年にWHOが発表した「ICIDH」(機能障害・能力障害・社会的不利の国際分類)では、「障害」は――。

(1)インペアメント(impairment)=何らかの器質の問題か、機能が正常に働かないことで、主に医学、医療で対応する障害のことを意味しており、「機能障害」といわれている。

(2)ディスアビリティー(disability)=インペアメント(機能障害)の結果として、見る、聞く、話す、歩く、考えるなどの一部(または重複して)の能力がうまく働かない「能力障害」が、生活や学習面で現れる。それを指導・支援していくのが主として教育である。

(3)ハンデキャップ(handicap)=機能障害、能力障害のために、社会生活をする上で困難が生じ、不便や不利益等が起こるような障害(社会的不利)をいう。そのために必要なサービスが社会福祉である。

この障害観は、世界や日本の障害者施策に大きな影響を与えてきた。

しかし最近、この障害観が改められてきている。その理由は、▽障害の原因を疾病に求めすぎる▽必ずしも器質的な障害がなくても機能障害が起こることがある▽環境の要因で社会的不利になる▽障害のマイナス面だけを見てしまうなどである。

01年のWHO総会では、ICF(国際生活機能分類)が採択され、80年の国際障害分類が改定された。 このICFは、今、医学、教育、福祉の分野で使用されている。特に、障害のある人の「障害」だけを注視するのではなく、その人が生活している視点で考え、生活の中でどの点が困難になっているのか、できないことだけでなく、できることは何なのかを考えていくのを大切にしている。

障害を「生活上の困難」と考え、いかに医療、教育、福祉で支援、サービス等をしていくかが求められる。

教育の憲法といわれる教育基本法の第4条第2項で、「国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない」とし、学校教育法第72条で、「特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする」としている。

特別支援学校が教育の対象にしている障害は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱である。その障害の程度については、学校教育法施行令第22条の3に掲げられている。

さらに学校教育法第81条第2項で、「小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。1知的障害者2肢体不自由者3身体虚弱者4弱視者5難聴者6その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの」とし、第6号に含まれる障害者として言語障害者、情緒障害者がある。これらの障害者を、特別支援学級での教育の対象としている。

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