【連載】特別支援教育の根本 5 医療・教育・福祉が三位一体で

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

医療・教育・福祉の関係から障害について考えてみたい。

現在、日本の医学の診断は、米国の診断基準による場合が多い。2013年、米国精神神経学会は、精神疾患の診断基準「DSM」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)を改定し、その第5版(DSM―5)を出した。これを受けて日本精神神経学会は昨年5月に、日本語病名の「用語翻訳ガイドライン」を発表した。

それによると、「障害」(disorder)は「症」とされた。学習障害を学習症、注意欠陥・多動性障害を注意欠如・多動性症。これは、「障害」と付くと治らない、症状が改善しないと思われるなどの不安等に配慮したものと考えられるが、他方、過剰診断・過剰治療されると心配する声もある。

もう一つは、自閉症、アスペルガー症候群、その他広汎性発達障害などと細分化されていたものを、一括して「自閉スペクトラム症」とした。これは、一続きの疾患と捉えた方がよいと考えたことによるものだろう。

これらの変更は今すぐに全面的に使用されることにはならない。ガイドラインでは、今後も検討を加えていくので従来の名称でよいとしている。しかし、公的文書で使われている世界保健機構の分類等に影響を与えることが考えられるので注意するべきである。

さて、福祉では障害をどのように捉えているのであろう。福祉では身体障害、知的障害、精神障害3つに分けている。身体障害は手足や目、耳が不自由、心臓や腎臓等の内部疾患。知的障害は知的機能に障害があり生活が困難。精神障害は統合失調症等の精神疾患。

日本の福祉制度では、各障害に対して手帳を交付し、福祉サービスを行っている。身体障害者手帳、療育手帳(知的障害者で手帳は都道府県で実施のため名称がバラバラ。東京都は「愛の手帳」、埼玉県は「みどりの手帳」等)、精神障害者保健福祉手帳である。

発達障害には独自の手帳はない。そのため養育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付基準に該当する場合、当該手帳の交付が受けられるが、認定がされ、交付される人は一部であり、今後、発達障害者手帳をどうするかが課題である。

平成16年12月10日に法律第167号、発達障害者支援法が成立している。同法は発達障害者に対する援助等について定めたもので、目的、用語の定義、国および地方公共団体、国民、社会の責務ついて述べている。しかし、基本的法律であって、具体的な施策は今後の課題だ。

医療は障害の発見、診断、治療等。教育は能力障害の支援。福祉は社会生活の困難のための援助。この医療、教育、福祉は三位一体として進めていく必要がある。

いま教育は、障害をどう考え、指導・支援していくか問われている。

平成19年4月1日から実施された特別支援教育。19文科初第125号の「特別支援教育の推進について」の通知の特別支援教育の理念の中で、「特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組みを支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである。また特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生活が在籍する全ての学校において実施されるものである」と述べられている。

全ての学校、教師は、在籍している幼児児童生徒の実態を把握し、必要な指導・支援をしなければならない。

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