【連載】古川流学級経営 12の鉄則 その1 夢と現実は違う!

兵庫県赤穂市立原小学校教頭 古川 光弘

 

4月がスタートしました。この連載を読まれている方は、新年度への期待はもちろん、不安もきっと大きいのではないでしょうか。私もそうでした。「子どもたちとうまくいくのかな?」「学習指導はどうしよう?」……。この季節には、そんなことばかり考えていました。

私は、教職30年目になります。悩んだこと、苦しいことは幾度となくありました。両手では数えられないくらいです。それでも教師の仕事はやりがいのある楽しい仕事であるし、他に代え難い素晴らしい仕事だと思っています。「教師をやっていて良かった!」と、これまで何度も何度も思いました。今、振り返ってみて、そのようなハッピーエンドを迎えられた最大の理由は何か? と問われれば、間違いなく自分なりの〝戦略〟を持って学級運営に臨んだということを挙げます。

4年ほど前になりますが、静岡県で「新任教諭の自殺は公務災害」という裁判の判決が下されました。概略は次のような内容です。

同県磐田市での小学校新任教諭の自殺をめぐり、遺族が公務災害と認めなかった地方公務員災害補償基金の処分の取り消しを求めた訴訟で、静岡地裁は「公務と自殺には因果関係がある」と述べ、処分を取り消す判決を言い渡しました(平成23年12月15日)。訴えていたのは16年に亡くなったS・Kさん(当時24歳)の遺族です。

判決によると、Sさんは同年4月、新任教諭として市立小学校の4年生を担任しましたが、授業中に暴れてもがいたり、暴力をふるって周囲にけがをさせたりするなど指導が難しい児童の対応に追われました。5月ごろからうつ状態になり、9月に指導に対する抗議とも取れる手紙を保護者から受け取った翌日、焼身自殺しました。山崎勉裁判長は、学級運営が円滑に進まない状況が恒常化していたと指摘すると同時に、学校の支援態勢も「極めて大きな問題だった」と批判しました。

私は、この事実を知って、悲しさを通り超え切なくなったのを覚えています。この若手教師も教壇に立つ前は夢と希望でいっぱいだったと思うのです。私自身、教員採用試験を合格してから4月までの期間、胸が躍るような時間だったのを今でもはっきり覚えています。夢にまで見て、教壇に立った新任教師の自殺、その衝撃は大きいものがあります。

私が、若い先生方、悩んでいる先生方にまず伝えたいのは、「夢と現実は違う」ということです。今や教壇には無防備で立ってはいけません。情熱だけで学級経営ができる時代ではないのです。戦略が必要なのです。では、実際にどのような戦略が必要なのか。

次回からは、具体的な戦略にも話を進めながら、学級を経営するための心構えについてまとめていきます。

古川光弘(ふるかわ・みつひろ)教頭 教職30年目。「子どもの心をどうつかむか」を生涯のテーマとして日々の実践に当たる。「サークルやまびこ」所属。著書に『学級づくり成功の原則~魔法のアイデア50選』(明治図書刊)など多数。