【連載】子どもの自立を育む学級経営 第2回 学級経営のゴールを意識する

京都文教大学准教授 大前 暁政

子どもがきびきびと動いている学級を参観することがあります。ところが、その背景が「教師の強い統制」であることが少なくありません。子どもが逸脱行動をすると厳しい指導が待っているのです。また、教師の意図に沿わない子がいると、注意や叱責が待っているのです。結果として、子どもたちは教師の顔色をうかがいながら生活することになります。このような学級経営では、子どもの自立はおぼつかなくなります。

ここで問題となるのは「学級経営のゴールは何か?」ということです。学級経営のゴールとは、集団をまとめることであり、子ども一人ひとりに自立を促すことであるはずです。だとするならば、統制でも放任でもない、バランスのよい学級経営をしなくてはなりません。

まずは、規律の浸透が大切です。規律が確立するまでは教師主導でかまいません。しかし、規律が浸透し、学級に秩序が生まれたら、後は子どもに「よきに計らえ」と任せることが必要になってきます。子どもを信頼し、子どもの自主的な動きに任せるのです。

ところが、統制を強くするのがよいと考えている教師は自分が主役でないと気が済まないといったタイプが多いようです。子どもが企画を考えているときでも、教師が企画の核心的なアイデアを出さなければ気が済まないのです。子どもが少しでも教師の意図と合わないようなことをやっていると、すぐに注意や方向転換をさせるような言葉を言ってしまいます。

このように、教師の意図に合わせる指導を1年間ずっと続けてしまうのです。結局、1年後の3学期に子どもはどうなっているのでしょうか。担任の意図を従順に読み、指示を待つ子どもになっているのではないでしょうか。

「3学期は子どもがテキパキ動いて楽になる」とよく現場では言われます。その言葉の中身は、(1)子どもが教師の意図に合わせ空気を読んで動いてくれるから楽(2)子どもに自立心が育ち、自分で望ましいと考える行動を進んで行ってくれるから楽――の2通りあるのです。

学級経営が本当に成功しているのは、後者の方です。目指すべきゴールが「統制の末の子どもの従順さ」である場合と「子どもが教師に依存することなく行動できる自立の姿勢」とでは、1年間の指導の方針がまったく違ってくるのです。

つまり、学級経営のゴールを意識できているかどうかが、指導の仕方に決定的に影響を与えるのです。小学校1年生には1年生の自立レベルがあり、中学校3年生には3年生なりの自立レベルがあります。問題は、その自立のレベルを教師がイメージできているかどうかなのです。統制が強い教師を見るたびに思います。「ああ、この教師は自分の意図通りに子どもが動くことを強いているのだな」と。

一度振り返ってみるとよいことがあります。それは、教師が子どもに意見を求めるときの教師自身の対応です。「どうしたらよいかな?」「みんなはどうしたいと思う?」と子どもに尋ねる場面で「教師が考える都合のよい意見だけ」に耳を傾けてはいないでしょうか。また自分の好みの意見だけを採用してはいないでしょうか。そういう対応をしていると、やがて教師の顔色をうかがう子どもを育ててしまいます。学級経営のゴールを意識できているかは、こんなところに現れてくるのです。

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