【連載】教師の“4ぢから”を高める 2 コミュニケーションがカギ

文教大学教育学部教授 会沢信彦

 

私の専門は教育相談、生徒指導であり、教科ではありません。しかし、まれに、研究授業で「指導者」「助言者」という扱いを受けることがあります。教育実習での学生の研究授業です。お恥ずかしい話ですが、以前、私はこの仕事が苦手でした。教科が専門ではないので、何をどう「指導」「助言」したら良いか分からなかったのです。

そのような折、千葉市教育センターで大変興味深い研究を行っていることを知りました。全国から「授業の達人」と呼ばれる先生を29人選び、授業力に関するインタビューを行ったのです。その結果、23のコンピテンシーが抽出され(図)、さらにそれらを4つにグループ分けしました。これが「授業の4力(よぢから)」です。全国の先生方に知ってほしい素晴らしい研究です。

以下、私なりの解釈を踏まえ、これらを紹介していきたいと思います。テレビ番組のランキング風に4つ目から述べていきます。

まず、「授業構成力」です。研究授業を行うことになった際はしっかりと教材研究を行う必要があります。そして、それをもとに指導案を作ります。授業の専門性といった場合のイメージは、このような力なのではないかと思います。

しかし、教材研究を完璧に行い、周到な指導案を作成したとしても、本番の授業がその通り進むとは限りません。子どもが授業に乗ってこないため、何となくシラッとした雰囲気で授業を行った経験は誰にでもあるはずです。つまり、良い授業を行うためには、子どもの意欲を引き出し高める「意欲向上力」が必要です。

逆に、子どもたちのテンションが高く、「不規則発言」が多くて困るということもあります。また満を持して指名した子どもの答えが「想定外」のものだったということもあるでしょう。したがって、教師には「一瞬の対応力」が求められます。

つまり、授業の達人たちに共通しているのは、子どもたちとの普段のコミュニケーションに細心の注意を払っているということです。この「授業コミュニケーション力」こそが、授業力の基礎基本になければならないのです。

この研究成果を読み、私は「なぁーんだ、教育相談や生徒指導で重視していることと同じじゃないか」と思いました。それからというもの、研究授業で助言を求められることがそれほど苦ではなくなりました。  そして、この研究をヒントに、私なりに考えたのが、「教師の4ぢから」です。次回から、1つずつご紹介していきます。

参考文献=『読本 達人に学ぶ授業力』千葉市教育センター刊、2010年