【連載】これからの生徒指導と学級経営 2 尊敬される教師になる知恵

生徒指導コンサルタント 吉田 順

 

私は若いときに先輩教師から、「最初が肝心」「なめられたら終わり」などと教えられました。そうするとついつい規律(特に校則)を守らせることに必死になります。しかし、このような教師は、ごく一部の生徒にしか尊敬されません。大半の生徒の心は離れていきます。尊敬されないと当然、指導はうまくいきません。教師というだけで無条件に尊敬される時代ではないのですから、順序や段階を踏まなければいけません。

最初から「規律だ! 規律だ!」とやっていたのでは、生徒は誰もついてきません。それよりも「おもしろい教師」になったほうがいいのです。規律にうるさい教師よりもおもしろい教師のほうが、家に帰って話題になるでしょう。やがては親と協働しなければいけない時期がくるかもしれませんから、そのときに威力を発揮します。

おもしろい教師になるのは、そんなに難しいことではありません。無理のないよう個性や趣味を生かせばいいのです。小咄、手品、だじゃれなどは最高級(?)で、そんな高級な技はないという人は漫画やゲーム、ファッションの話でもいいのです。それでも何もないという人は、自分の小さいときの失敗談やいたずらの話などをしましょう。生徒は大喜びします。

くれぐれも小さいときの自慢話はやめましょう。生徒は担任のドジでマヌケな子ども時代に共感や安心感を抱くのです。ただし、このおもしろい教師を何カ月もやっていてはいけません。

おそらく2週間もしないうちに、学級内で何か問題や事件が起きるでしょう。そんな問題や事件を、ここぞとばかりに取り上げましょう。起きた問題や事件によって取り上げ方はかなり違います。本当は解決が簡単なほうがいいのですが、そうはいきません。しかし、解決できなくてもいいのです。

例えば、よくある物隠し。被害者の生徒と仲間を誘い、まずは探し回ります。10分、20分ではなく1時間以上探します。学年のほかの教師も一緒に探すと、なおいいです。そして、教師も生徒も探しながら、「こんないやがらせは許せない!」と一緒に怒ってください。

被害者生徒も仲間も「先生たちは頼りになる」と思います。「おもしろい教師」から「頼りになる教師」になったのです。そして、その子たちの口から友達や親に噂となって広まるでしょう。

もし、1つでも2つでもうまく解決したり納得した問題や事件があったりしたら、いよいよ「尊敬される教師」になるでしょう。こういう段階を踏まずに、何もしなかったり、朝から晩までうるさく規律を守らせようとするばかりだったりでは、「尊敬される教師」にはなれない時代なのです。

一方、学校によっては、課題の多い子がいて「そんな簡単に尊敬されませんよ」という教師もいるでしょう。そこで次回は「〝根っこ〟を探す生徒指導」の話をします。