【連載】これからの生徒指導と学級経営 3 “根っこ”を探す生徒指導

生徒指導コンサルタント 吉田 順

“根っこ”を探す生徒指導

おもしろい教師が頼りになる教師になり、そして尊敬される教師になる道が一番の早道で、規律指導を中心にする学級経営をやっていると生徒の心は離れてしまいます。そんなことを言っても、最近の子どもは4月から乱れていて、規律指導がついつい中心になってしまいがちです。そこで「根っこ」の話をしましょう。

どんな規律違反にも問題行動にも「根っこ」というものがあるのです。例えば、授業に集中せず、私語やざわつきの多い学級があったとします。教科担当の先生から苦情でも出れば、もう放置はできません。すぐに効果のあることをしなければいけませんが、効果を急いでガミガミ説教しても一時的な効果しかありません。「根っこ」を探しましょう。

どういうときに私語が多いのか、誰から始まるのか、どうやって広がっていくのか、私語の少ないのはどういうときなのか、やむのはどういうときなのか、周囲の子が巻き込まれるのはなぜなのか、どんな子は巻き込まれないのか、などと克明に調べるのです。最大の情報源は子どもたちです。「根っこ」は子どもたち自身が分かっているからです。

次に「根っこ」となっている生徒に取り組みます。多分、「勉強が分からないから」と言うでしょう。でも「学習指導をすればいいのだ」と納得してはいけません。勉強が分からなくても、学校生活を真面目にやっている子はいくらでもいるのですから。だから、さらに「根っこ」を探し続けます。家庭訪問をして親とも相談します。単に勉強が分からないだけでなく、根深い問題にたどり着くことが多いでしょう。

きっと、その家庭では、親が忙しくて小言以外はまともに会話をしたことがない、両親が不仲で安心して過ごす場所がない、などとという家族問題があります。そのことに親が気付くように話を聞くのです。大概の場合は、親も気付いているのですが、簡単には認めたくないという心理が働きますから、見透かしたように指摘するのではなく、一緒に考える姿勢を貫くことです。

わが子の健やかな成長を願わない親はいませんから、この先生は頼れると感じたら、親は本音を話します。どうしてこんなまどろっこしい手順を踏んで取り組まなければいけないのでしょうか。

私語程度であれば、厳しく叱れば確かにやむことはあるでしょう。でも、それが暴力や嫌がらせ、いじめなどというレベルになると、そうはいかないからです。多分、何度も何度も繰り返すに違いありません。結局、面倒でも「根っこ」を探して取り組んだほうが早道なのです。

それは、人には基本的欲求があって、これが満たされないと、私語がやんでも違う形の授業妨害が起きます。そのうち、嫌がらせやいじめなどにも発展するでしょう。次回は、この基本的欲求について話します。