【連載】温故知新の学びから考える 2 地域とともに多様な学びを

一人ひとりの子どもの顔が違うように、子ども一人ひとりはその子なりの学びをしている。教室に35人の子どもがいれば学び方も35通りあるといってよい。一人ひとりの子どもの学びを保障するのは、個性を育む教育にとってとても大切なことである。しかし、それを実現するのは容易なことではない。

 これまでの教育は、複数教師によるティームティーチングで子どもの学びを保障しようとして成果をあげてきた。でも、小千谷小学校のように34学級もある大規模校では、子どもの学びに十分対応できるティームティーチング体制を組むのは難しいのが現実だった。

 毎日でなくてよいから、子どもが本当に必要な時、そこに必要な大人がいることはできないのか。そこで、まず小千谷小学校では、教員だけでなく、事務職員、学校栄養職員、管理員、調理員など校内全スタッフで子どもを育てようと取り組んだ。すると、子どもたちはさまざまな職員から多くを学び始め、多様な学びが生まれた。こうして、多様な学びをさらに保障し支援するため、保護者や地域の人々の学習参加が必要になったのである。

 多様な学びだけではなく、安心して学べる和やかな環境の保障という面からも、保護者や地域の人々が学習に参加することは必要だと考えた。保護者の授業参観だけではなく、地域が子どもの学習に積極的に参加する体制へと全校で舵を切ったのである。

 実際に保護者や地域の人が参加する学習を実施すると、▽楽しく学べ意欲が高まる▽個々に教えてもらうことで理解が深まったり技能が向上したりする▽担任とは違った人格や専門的な力に触れ、新しい見方や感性が身に付く▽保護者とのコミュニケーションが深まり、人と接する力の向上や家族のつながりが深まる▽学習活動にさまざまな人が加わることで柔らかな安心できる人間関係が育つ▽これらがいじめや不登校の発生防止になる――などの成果が生まれた。

 そして、何よりも子どもと保護者、地域の人々が笑顔になるという成果があった。この笑顔が、子どもを大きく育てていくのである。

 「○○さんのお父さん、大工さんで、すごく面白い」「手品クラブの地域の先生、とてもいい人。すごいなあ」など、学習参加を重ねることで、学ぶ目的を見いだしていく子どもが増えていった。

 学習参加は、保護者や地域の人々におおむね積極的に受け入れられたが、まだ戸惑う人々もいた。そんなとき、教師は「よく聴いてください。教師はもちろん、子どもたちや保護者同士の発言を。時にはうなずいて聴くことの大切さを子どもたちに教えてください」と働きかけた。聴くことの大切さを伝えることも学習参加の大きな意義であることを理解した保護者や地域の方々。互いに人の話を尊重し、聴き合う気風が学校全体に広がりだした。

 そして、子どもを中心にした聴き合いや学び合う輪が生まれていった。これが「学びの共同体」のはじまりであった。