【連載】温故知新の学びから考える 3 地域を巡り協働する防災学習

新潟県小千谷市立小千谷小学校教諭
平澤林太郎

4年半前の東日本大震災の教訓から、現在、全国の小学校で防災教育が進められている。さまざまな資料や映像をもとにして、教科の枠を超えた多様な実践が進められていることであろう。小千谷市は、11年前の平成16年10月23日にマグニチュード6・8、震度7の直下型巨大地震に見舞われた。「新潟県中越地震」である。しかし、今の小学生はほとんど何も知らない。

 そこで小千谷小では、地域と協働し参画を重視した防災学習を5年生ですすめることにした。まず、地域防災学習施設「おぢや震災ミュージアムそなえ館」で、資料やCG映像をもとに新潟県中越地震がどんな災害だったかを学んだ。震災時の映像や資料はとても衝撃的だった。しかし、それ以上に驚いたことは、震災からわずかな期間で市が復興を遂げたという事実だった。

 そんな驚きを原点に、学習では「なぜ小千谷は中越地震からわずかな期間で復興できたのか」について子どもたちが保護者や地域の方々と一緒に考えた。

 子どもたちは保護者や地域の方々の話を聞く中で、「地震の日は多くの人が車の中で過ごし、しばらくして市の総合体育館などの避難所に行った」「普段から近所の人々と助け合って生活していたから、避難生活でも自然と助け合えた」「○○さんのおじいさんは大工で、地震後に仲間と助け合って何十軒もの家を修理した」「小千谷の人々やボランティアの多くの努力と支えがあったからこそ、素早い復興が実現した」などと多くのことに気付いていった。

 また保護者や地域の方々も、「確かに普段からの備えが大切だね。忘れていたことを思い出させてくれてありがとう」「小千谷小の校舎には、大きな災害があっても地域の人々が避難し生活できる環境が整っていることを知らなかった」「みんなは地域になくてはならない存在だ。地域への愛着と誇りを持って行事やボランティア活動にたくさん参加し、絆を深めてほしい」「今勉強していることを実行し、下級生に受け継いでくれるとうれしい」などとつぶやき、子どもたちと地震の思い出を共有する中で多くの親睦と気付きを深めていた。

 子どもは大人をよく見ており、どんな大人も子どもの前では、持ち味がより一層発揮される。この防災学習では、全ての大人が復興にかける思いを熱く語っていた。一方、子どもたちは保護者や地域の方々の体験談に目を輝かせ聴き入っていた。

 大人は、人の役に立つことが自分を幸せにすることを口には出さないが子どもたちに伝えている。そして、子どもたちは、「学ぶこと」が決して自分の幸せのためだけでなく、人の幸せに役立てるものということも感じ取るのである。

 現在、学ぶ目的を持てなかったり、失っている子どもが多いといわれている。真に学ぶ目的を持ち、ふくらませる子どもをこのような協働で育てる必要があるのである。

関連記事