【連載】特別支援教育の根本 7 「概ね」は一律規程ではない

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

引き続き、就学の視点から障害について考えてみたい。第6回で、特別支援学校の対象とする障害と程度を、学校教育法施行令第22条の3の表を掲げた。

視覚障害者の特別支援学校(盲学校)の対象障害は、視覚障害で視機能が低下して通常の教育等での学習が困難である場合である。視機能の、視力、視野、光覚などの各種機能に障害がある場合、教育上の特別な支援や配慮が必要になる。特に両眼とも視機能が低下して、現状以上の視機能の回復が困難な場合、視覚障害と考えられる。

さて、教育上最も問題となるのが視力障害である。学校は学年の初めに定期的に健康診断を行うことが学校保健安全法に定められている。

視力検査で裸眼視力が低くても、眼鏡やコンタクトで矯正視力が低くなければ、学習上で大きな支障とはならない。両眼での視力が「概ね0・3未満」の場合は特別支援学校(盲学校)の対象と考えられる。「概ね」とは、0・3以上でもなんらかの理由で文字などの認識に支障をきたす場合があるので、一概に除外されることがないように、一定の幅をもたせたものである。視覚障害等の詳細については専門書に譲ることにして、市町村教育委員会は就学基準に該当している認定就学者であっても、障害の種類や程度の判断だけでなく、地域や学校の状況、障害のある児童生徒の学習支援する合理的配慮があるかなどを考慮して、総合的に判断することが必要である。合理的配慮についてはいずれ述べたい。

弱視特別支援学級の対象は、視覚障害の状態が、「拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度」。

通級による指導(弱視)の対象障害は、「拡大鏡等の使用によって通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度で、通常の学級での学習に概ね参加でき、一部特別な指導を必要とする」。

日本における視覚障害教育は、聴覚障害教育とともに、明治11(1878)年の京都盲唖院設立に始まった。盲教育は、点字を用いるとともに、聴覚や触覚の活用を中心としている。弱視教育は通常の文字を用いるとともに、視覚の活用を中心としている。最近は各種の視覚補助具の開発や普及が急速に進み、低い視力でも通常の文字による学習ができるようになってきている。

またコンピュータなどの活用により、通常の文字と点字との相互変換ができるようになってきたし、通常の文字の音声への変換が簡単にできるようになってきている。

これらにより、視覚障害児童生徒の学習の困難さが軽減され、通常の教育が可能になってきている。 世界の福祉国家といわれているスウェーデン、デンマークに教育視察に行ったとき、盲学校が少なくなっており、障害の重度を対象としていた。それでは、視覚障害教育は必要ないと考えているのかといえば、そうではない。むしろ、視覚障害教育は必要であり、障害を早期に発見し、早期教育を学校ではなく、専門の教育センターで行っていた。そして、可能な限り通常の学校で、障害のない子どもとともに学んでいた。

これはまさに、日本が今取り組んでいるインクルーシブ教育システムではないか。インクルーシブ教育で最も重要なのは合理的配慮である。合理的配慮とは、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもので、学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」である。

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