【連載】子どもの自立を育む学級経営 第5回 自分で判断し動けるよう導く

京都文教大学准教授 大前 暁政

1学期の声かけと3学期の声かけの仕方を変えていますか?――。心ある教師は子どもに対する声かけの仕方を「あえて」変えています。1学期と3学期は、まったくといっていいほど、声かけの仕方が違うのです。これは一体どういうことなのでしょうか。

実は、学級経営には大切なポイントがあります。それは、子どもに「自分で考える習慣をつける」ことです。教師が的確な指示を与えるだけでは自立は不十分です。子どもが教師に依存するようになってしまうからです。教師がいなくても、自分で判断して望ましい行動をとれるようになる。そうなれば、教師の指示は少なくなります。そして、褒めたり、認めたり、励ましたりする声かけが多くなってくるのです。

では、どうすれば子どもに自分で考える習慣をつけることができるのでしょうか。

まずは「問いかけ」を取り入れていくとよいでしょう。「問いかけ」とは、相手の行動を促すよう「疑問系」で言葉かけをすることです。よく使われる問いかけの例として、普通に教師がやっているものがあります。

例えば、机の整頓をさせたいときの言葉かけです。「勉強前に勉強がしやすいよう自分の机の周りをきれいにしておきたいですね。どうしたらよいかな?」と、望ましい方向性を示した上で、何をすればよいのかを考えさせるのです。机の上にある余計な物を片付ける子もいるでしょう。ごみを拾う子もいるでしょう。こうして自分なりの考えで行動した子を認め褒めていきます。これはこれで良い声かけですが、「問いかけ」にはもう一つのやり方があります。

それは、自分の行動を振り返らせる問いかけです。つまり、行動の前に「○○をした方がいいですよ」という方向性を示して行動を考えさせるのではなく、いったん行動をさせておいて、行動中や行動後に子どもに方向性を確認したり、望ましい行動を考えさせたりするのです。

例えば、学級でお楽しみ会のイベントをしたとしましょう。イベントが始まると、みんなが楽しめるようにルールを守ってゲームをしたり、一生懸命準備や片付けをしたりといった前向きな行動が見られることでしょう。

ところが、あまり「みんなが楽しめるように」ということが意識できておらず、自分勝手に行動をしてしまう子もいます。ルールを破ったり、友達とふざけていて準備や片付けをしなかったりといった具合です。ここで、「○君、みんなに協力しなさい」と指示を飛ばしたり、「○君、何をやっているの」とお説教をしたりすることは簡単です。

1学期の初期なら、指示や説教をすることもあるでしょう。しかし、自立を促す学級経営をするなら、3学期になっても指示や説教をしていては不十分です。指示や説教をしたいのをぐっとこらえて、「この会って、どういう目的でやっているのかな」「協力しない人がいたけど、みんなが楽しめているといえるかな」と言うのです。こうして、望ましい方向性を考えさせたり、子どもの行動を例に挙げ、望ましい行動かどうかを振り返らせたりするのです。

ある意味、子どもを「泳がせておいて」「見守っておき」後から「どうだったか?」と内省を促すのです。つまり、体験をさせておいて、後から内省をさせる方が、意外と強く自分の行動を見直す機会にすることができるのです。そして、次からは、どうしたらよいかを自分で答えを出そうとする姿勢が育ってくるというわけです。

日常のちょっとした場面で「問いかけ」を取り入れてみましょう。やがて、問いかけなくても、子どもが自分で考えて動くようになってきます。その結果、教師の指示はどんどん減り、子どもの頑張りを認める言葉かけが増えてくるのです。