【連載】教師の“4ぢから”を高める 5 まとめる力② 縦糸を張る

文教大学教育学部教授 会沢信彦

 

前回は「まとめる力」のモデルとして、学級づくりを、縦糸と横糸からなる織物になぞらえた横藤雅人校長の「織物モデル」を紹介しました。「Q―U」でいえば、縦糸は「ルール」に、横糸は「リレーション」に相当するのではないかとも述べました。

横藤校長によれば、織物では、まず縦糸を張ります。学級づくりでも、まずは学級のルールや仕組みを作るとともに、1年を通して集団の秩序を保つことが重要です。ここでは、参考になる3つの考え方を紹介します。

1つ目に、学級の仕組み作りについてです。学級担任の経験を重ねた先生方は、自身の経験を通して築きあげたそれぞれの仕組み作りの方法を持っていると思います。一方、経験ゼロの初任者であっても、学級担任を務めたら、自分の責任で学級の仕組みを作らなければなりません。

その際の指針となるのが、野中信行元教諭の「3・7・30の法則」です。最初の3日間で「今度の先生は楽しそうだ」という印象を与え、1週間(7日間)で学級の仕組みを作り、1カ月(30日間)で繰り返しながら徹底させる、という理論です。詳細は、参考文献をぜひ読んでもらえればと思います。

2つ目に、1年を通して教室の秩序を保つための考え方についてです。これは、哲学者の森信三氏の言葉で有名な「時を守り、場を清め、礼を正す」に尽きるように思います。自ら時間を守り(チャイムが鳴ったら授業を終える)、教室の美化に心がけ(ごみが落ちていれば拾う)、子どもたちや同僚に明るい声であいさつを交わす教師のいる学級や学校は、荒れや学級崩壊とは無縁であるはずです。

3つ目に、子どもへの接し方についてです。教師として、子どもを厳しく叱ったり、行動変容を迫ったりすることが必要な場合が必ずあります。いわゆる「毅然とした対応」です。もちろん、危険な行動を制止するために、やむを得ず大きな声を出すことはあるでしょうが、大声で怒鳴りつけることと「毅然とした対応」とは異なります。

私が研究や実践の柱の1つとしているアドラー心理学に関する英語の本を読むと、しばしば〝kind and firm〟という表現が登場します。私はこれを、「思いやりを持ってきっぱりと」と訳しています。子どもの人格については尊重しつつ、行動については認めないという態度こそが、「毅然とした対応」なのではないかと私は考えています。

教師を目指す学生の中には、叱ることに苦手意識を持つ場合が多いようです。教師志望の学生や若い教師には、「毅然とした対応」を含めた縦糸の重要性について、ぜひ理解を深めてほしいと願っています。

※参考文献=『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(野中信行、明治図書出版)

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