【連載】これからの生徒指導と学級経営 5 行事には“哲学”がある

生徒指導コンサルタント 吉田 順

 

「生徒指導と行事は別ものではないか」と思いがちです。実際、学校現場では校務分掌上も違いますし、担当する先生もどちらかというと正反対の個性や能力の先生です。しかし、これほど互いに深いつながりがあるものはないのです。

前回述べた「仲間がほしい」「人から認められたい」という欲求などは、孤独な人間関係では決して達成できるものではありません。学校行事や学年行事、学級活動には必ず他人との関わりが生まれます。もちろん、時には経験したくない軋轢が生じることもありますが、関わりによって仲間ができます。さらに活動の中で自分の特技や能力が発揮でき、友人から認められることもあるので、他人に役立つ喜びを体験できるチャンスをつくり出せます。

例えば、ほとんどの中学校で実施されている「合唱コンクール」などは、多くの生徒を活躍させることができる、価値ある行事の1つです。私は現職のとき、たくさんの係をつくり、取り組みました。

まずは、選曲係を5人選んで5曲程度の候補曲を選んでもらいます。学級会で1曲に絞ったらスタートです。楽譜を作る係。歌のイメージを絵にする表紙係。教室掲示用の楽譜を作る係などです。さらに、各パートの指揮者と伴奏者、パートリーダー。全体の指揮者と伴奏者なども決めます。

そのほかにも、音楽は苦手でも大きな声で指示できる子は各パートのサブリーダー。各パートのCDプレーヤーなどを毎回練習開始時間にセットし、終了後に片付ける道具係やパート練習時の音取り曲想係。全体練習の完成度を見取る批評係。コンクール当日の紹介文作成係など。これで30人以上必要です。

このように、歌は苦手でも活躍できる場をたくさん用意します。

どれも複数人で取り組むため、活動中には生徒間で軋轢が生まれます。教師はその軋轢を受け止め、一緒に乗り越えます。コンクールに勝っても負けても「自分は活躍できた」「自分のことをみんなが認めてくれた」「私でもみんなの役に立った」などという実感を得られたかどうかが、大切なのです。この実感は、行事のやりっ放しでは得られないので、教師は言葉や文章で評価する必要があります。また生徒間で評価し合うことも効果的です。

もし、このような体験がない学校や学級であるなら、生徒たちは、人には誰にでもある基本的欲求をどうやって満たすのでしょうか。違反の服装や頭髪で注目を得ることで認められようとします。校則違反の背後には深いわけがあるのです。

それでも「違反の服装や頭髪を認めるわけにはいかない」という先生たちや学校のために、次回は、このような校則指導が行き着く危険性について述べます。

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