【連載】温故知新の学びから考える 4 6年生参加で教育フォーラム

新潟県小千谷市立小千谷小学校教諭
平澤林太郎

 「地域に根ざし豊かな人間性を育てる学校づくり」――昭和46年、小千谷小に着任した星野初太郎校長が打ち出した「谷小教育新構想」のスローガンである。これを具現化するため、昭和48年に「谷小教育を語り合う会」がスタートした。会は同校教職員だけでなく、保護者や地域の人々、転勤した教職員も参加し、授業参観をしながら教育について語り合う場として毎年行われる。平成21年に「谷小教育フォーラム」と名称が変わり、保護者や地域との連携を深める研修の場となった。

 同フォーラムでは、授業参観後にシンポジウムが行われ、テーマに沿って保護者や地域の人々と教職員で活発な話し合いが行われる。これまでのテーマは、「家庭や地域と連携した谷小のこれからを『言葉遣い』を中心に考える」「園学校や家庭と地域が連携し、夢に向かって勉強する子を育むには」「あいさつの花いっぱいの谷小にするには」「家族や回りの人に役立つことを進んでする子を育てるには」などだ。  これらの話し合いは、これまで大人だけで行われていた。昨年度から、学校の主役である子どもたちも加えてシンポジウムを行っている。6年生約150人全員がシンポジウムに参加するのである。

 昨年度のテーマは「谷小の子どもたちの言葉遣いについて考える~思いやりの心を言葉で表現する子を育てるには?」。PTA代表や生活指導主任教諭、6年生の代表2人がパネリストとして話し合った後、6年生や保護者、地域の方々を含めた8~10人が小グループをつくり話し合った。

 あるグループでは、名前の後に「さん」を付けるかで協議を深めた。児童からは「授業で『さん』付けで呼んでも、休み時間は呼び捨てにしてしまう」と意見したのに対し、保護者からは、「『さん』付けの後に、悪い言葉は続かないよね」という提案が出た。児童から「確かにそうかも」と納得の声が出る中、地域の人々からは「昔はみんな呼び捨てだったけど、今はそういう時代じゃないんだね」や、保護者の「社会に出れば『さん』付けが当たり前だよね」などといった助言が続いた。

 こんな意見を聞きながら子どもたちからは、「『さん』付けをすることで、思いやりの心をもって友達と関われると思う」との思いが出て、保護者からも「確かに『さん』付けは目的ではなくて手段。大切なのは思いやりの心だね」などと話し合いも深まった。

 そして、どのグループでも活発な話し合いが進行。小グループで話し合いを進めることで、話が苦手な子どもも安心して参加できた。

 話し合い後の児童の感想では、「普段、家の人には言えないことをこのフォーラムで言えて本当にすっきりした」や「僕も呼び捨てで友達を呼んでいたので直したい。そして、もっと仲を深められるようにしたい。クラスの中で悪口や呼び捨てを減らすため自分から直していきたい」という言葉があがっていた。

 保護者や地域の人々からは、「6年生がとても活発に話し合いに参加してくれました。子どもたちの生の声が聞けて本当に良かった」をはじめ、「自分の子どもと同世代の子どもと話す良い機会となった。改めて『さん』付けでの呼びかけはなかなか難しいと感じたが、思いやりの心を持つ良いきっかけになった。家庭での言葉遣いにも気を付け、子どもの手本になるよう心がけたい」「谷小の『さん付け』には、最初違和感を抱いたが、その意味を知り、現在では大いに賛成。これからも続けてほしい」「大人が子どもの見本になって、きれいな言葉を使うことをがんばれば、自然とふわふわ言葉を子どもが身に付けられると思った」などの感想が示された。

 このように同フォーラムでは、児童だけでなく保護者や地域の人々も学びを深め、人間性を豊かにする取り組みが進んでいる。今年度のフォーラムは10月31日に開催する。

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