【連載】子どもの自立を育む学級経営 第6回 見守って気付かせる指導を

京都文教大学准教授 大前 暁政

相手に迷惑がかかっていないのなら、見守って気付かせることも大切です。自分で体験し、自分で気付いたことは忘れにくいものです。それに、自分で気付いて自分で望ましい行動を選択した場合、誰かに言われて嫌々行動するよりも、改善が早いものです。

駄々をこねる子に、「駄々をこねてはいけませんよ」と注意するのは、初期対応としてはよいでしょう。ただ、注意するだけではなく、「駄々をこねると、どういう悪いことが起きるのか」も説明します。例えば、「駄々をこねても、周りの人が困るだけで、何の解決にもなりませんよ」などです。「その行動を続けていると、起こりうるであろう未来」を示してやるのです。

一方で、その点を理解させたら、次の段階の指導に移らなくてはなりません。それが「放っておく」ということです。放っておくといっても、本当にほったらかしにするのではなく「遠くからそれとなく見守る」ようにするのです。

駄々をこねている子を、放っておきます。すると、駄々をこねたけど、誰も関わってくれなかったという経験をします。それどころか、みんなに嫌な顔をされたという、悪い結果だけが残ります。

いつもは駄々をこねると、教師が飛んできていろいろと話を聞いてくれました。ある意味で、教師からの注目を得るというメリットがありました。しかし、今回は違います。誰も自分に注目してくれず、関わってくれないどころか、みんなから嫌な顔をされるというデメリットだけが結果として残ったのです。これでは、駄々をこねて自分の言い分を通すことができなかったばかりでなく、誰からも相手にされず、しかも、だめな結果だけが残ることになります。

駄々をこねるという習慣ができた子どもなら、2回、3回と続けるかもしれません。しかし、さすがに3回続いてデメリットだけが残るのなら、もう4回目をしようとはしないでしょう。駄々をこねるのでは、自分が想定しているメリットが何も得られない。だったら、次に自分がとるべき行動は何なのか。それを自分自身で自然と考えるようになるのです。

今の行動では、現状が変えられないことを、子ども自身に気付かせるようにするのです。そうすれば、次にどうすればよいのかを、子ども自身が考え始めるのです。教師が前々から言い聞かせていた内容が生きるのは、まさにこのときです。

そういえば、「前に先生が『自分の言い分を相手に丁寧に説明して、それでもだめなら、教師に相談する手がある』ということを言っていたな。じゃあ、そうしようか」と気付くのです。教師の過去の指導が生かされるのです。もしくは、自分で答えを探すかもしれません。そして、「自分の言い分と相手の言い分が食い違ったら、駄々をこねず、周りの人に相談してみようか。じゃんけんや多数決で決めるのもいいな」などの思いで、自分で望ましい行動を選び、悪い現状を変えるようになるのです。

教師は、教えたら見守ることが大切です。見守るのは、忍耐力がかなり必要です。しかし、子どもが自分で望ましい行動を考え、望ましい行動を選択できるようになれば、学級の雰囲気は大変良くなります。教師は注意をすることが減り、褒めることが多くなるからです。

ただし、見守るのは、周りの子に大きな被害が及んでいない場合ですので、そこは注意してください。