【連載】これからの生徒指導と学級経営 6 指導の二重構図はなぜ生まれるか

生徒指導コンサルタント 吉田 順

 

第1回で「頭髪と服装」を中心とした校則指導を生徒指導の柱にしていては、多くの生徒の心をつかむことは、とてもできません、と話しました。その指導では「認められたい」という基本的欲求が満たされず、頭髪や服装違反という歪んだ形で欲求を満たすのです。

しかし、学校現場では今も80年代の校内暴力期の「服装の乱れは心の乱れ」という言葉が引き継がれています。日本中の多くの中学校では、学校が校則として定めた頭髪や服装を守らせることによって、社会集団のルールを教えて規範意識を育て、その結果落ち着いた学校になると考えています。校則は学校を守る「防波堤」というわけです。

もともと落ち着いた家庭環境の子が多かったり、親が学校に協力的だと、この校則指導もうまくいきます。あえて学校の方針に逆らう親や生徒が少ないからです。厳しい校則指導の結果というよりも、親の教育力で学校が落ち着いているのかもしれません。

ところが、家庭環境の厳しい子や親の教育力の低い子が増えてきて、必ずしもこの校則指導はうまくいかなくなっているのです。

前々回にお話ししたように、子どもは「仲間をつくりたい」「認められたい」とか「注目されたい」「自分を光らせたい」などという思春期特有の欲求を満たすためには、全生活を賭けます。そのためには校則違反もするわけです。親に教育力がなければ、なおさらのことです。

例えば、違反の茶髪にしてでも「注目されたい」し、深夜知り合った茶髪の生徒と「仲間をつくりたい」のです。そうすればその仲間からも「認められる」でしょう。学級の他の生徒とは俺は違うんだと「光らせている」のです。歪んだ満たし方とはいえ、そうするしか術を知りません。ですから、学校は指導(説得や直さなければ校内に入れない、特別室に隔離する)しても指導しても生徒は直さないのです。いずれ、堂々と校内を徘徊する原因にもなります。

つまり、この段階で違反が認められてしまったのです。教師側は認めていないのですが、そうせざるを得なくなったのです。それでも教師側は2人目3人目の違反者を出しては大変なことになると思っていますから、一般生徒には、今まで以上に厳しく校則指導を続けます。

やがて一般生徒は、「先生たちはずるいよ、不良じみた生徒には甘く、俺たちおとなしい生徒には厳しい」と教師集団に不信を抱きます。最も支持されなければいけない大多数の生徒集団の心が離れていくのです。指導の基準が二重になってしまったからです。

次回は指導の二重構図がもたらす学校の荒廃についてです。

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