【連載】温故知新の学びから考える 5 自然と地域の人々から学ぶ

新潟県小千谷市立小千谷小学校教諭
平澤林太郎

子どもたちは自然が大好きである。しかし、遊び方の変化などにより、自然の中で遊ぶ子どもたちは減ってきている。そんな現代の子どもたちに、自然にとことん浸り、自然を愛し、自然から多くのことを学んでほしい。

 小千谷小学校の校舎は、船岡山という小高い丘の麓にある。この船岡山は小千谷市民の憩いの場所であると同時に、同校の子どもたちには絶好の学びの場となっている。3年生の総合的な学習の時間では、春から秋にかけて、この山の自然を学習している。

 4月の終わり、雪がまだ残っている船岡山に出発することにした。動植物が動き始めたこの時期に、追究するものを決めるのである。そこでお世話になったのが、地域の理科教育センターの方々だ。出発前、プレゼンテーションを通じて子どもたちに観察の視点を与えてもらった。

 ただ何となく山を歩くだけでは、楽しいハイキングに終わってしまう。そうではなく、1つのものを継続的に詳しく観察することの大切さを教えてもらった。その上で子どもたちは、船岡山の「草花」「ホタル」「樹木」「昆虫」「爬虫類」「鳥」などの追究グループに分かれた。

 この船岡山での観察を、毎月実施した。子どもたちは追究テーマごとに、たくさんの発見をしてカードに記録していった。1回だけの観察では分からない、動植物の季節による変化や他の動植物との関わりについても、子どもたちは気付きを深めた。分からないことは図鑑やインターネットを活用して明らかにした。

 調べれば調べるほど、詳しく知りたいことが出てくる。そこで、地域の理科センターの方々とお年寄りを主体にした民間サークル「船岡山ホタルを育てる会」の方々に、毎月の観察に協力してもらい、子どもたちの疑問に答えてもらうことにした。同会の方々は、ホタルだけでなく、船岡山の動植物全てに詳しい。  子どもたちは、ホタルは「昼間何をしているのですか」「何を食べているのですか」「寿命はどのくらいですか」などと次々と質問を投げ掛けていった。

 それに対し、同会の方は、「ゲンジボタルは樹木の高い位置で、ヘイケボタルは草むらで眠っているのだよ。日光や雨が当たらないようにね」「ゲンジボタルの幼虫はカワニナ、ヘイケボタルの幼虫はカワニナやシジミを食べている。成虫は水しか飲まないのだよ」「たまごで1カ月、幼虫で10カ月、成虫で2週間。だから1年だね」などと丁寧に回答。子どもたちは疑問を明らかにしていった。

 さらに、児童は「どうしてこんなに船岡山は自然がいっぱいなのですか」などとも質問。それに対し、同会の方々からは「船岡山は地下や斜面からたくさんの伏流水が湧き出て、水がとてもきれいだからだよ」と説明。子どもたちは「へぇ~、船岡山は水がきれいだから、自然がいっぱいなのだな。おどろいた。小千谷って、やっぱりいいところだな」と、自分の住む地域の良さを、改めて実感していたようだった。

 このように、船岡山の自然にとことん浸り、地域の方から自然を学び、その素晴らしさを改めて感じることで、子どもたちは自然を愛し、地域を愛する心を育んでいくのである。