【連載】温故知新の学びから考える 6 お年寄りとのファシリテーション

新潟県小千谷市立小千谷小学校教諭
平澤林太郎

 「地域のお年寄りのためにできることは何だろう」――。5年生の子どもたちは総合的な学習の時間で「小千谷の高齢者の方と共に生きる」をテーマに、学習を進めてきた。

 社会福祉協議会の方から、小千谷市の取り組みを聞いたり、地域での調査活動をしたりする中で、「お年寄りの孤独」「生活の不便さ」「ボランティア不足」などの課題に子どもたちは気付いていった。そこで前述の「地域のお年寄りのためにできることは何だろう」という発言があったのである。

 ただ、子どもたちだけで一方的に話し合っても、本当の実態が分からないのでは実感を伴わない話し合いになってしまう。そこで9月の祖父母参観で、お年寄りから実際の気持ちを聞きながらファシリテーションによる話し合いをすることにした。

 グループは子ども4~6人と祖父母や地域のお年寄り4~6人。教師がファシリテーションを通じた話し合いの仕方を説明してからスタートした。子どもたちはこれまでの調べ活動をもとにさまざまな考えを付箋に書き、発表していった。

 意見は、▽重い荷物を持っているお年寄りがいたら助けてあげる▽電車やバスで席を譲る▽点字ブロックに自転車を置かない▽ごみ出しを手伝ってあげる――など。

 お年寄りはこれらの意見に真剣に耳を傾け、うなずきながら聞いていた。その姿を見て、子どもたちはますます思いを込め、発表を続けていった。

 子どもたちからは、▽お店で高いところにある物を取ってあげる▽道路に転がっている石やごみを取り除く▽お年寄りが困っていたら話しかけて助ける――などの意見があふれた。

 すると、意見を聞くお年寄りも、▽困っているときに助けてくれるのは確かにありがたいけれど、普段から声をかけてくれることが一番うれしい▽お互いの顔を知ること。あいさつを普段から交わすことが大切なんじゃないかな▽元気なあいさつをしてくれると、すごく元気をもらえる――などと付箋に考えを書き、意見を次々に発表していった。

 それまで子どもたちは、「お年寄りを助けてあげる」という上から目線の考えをもっていた。しかし、お年寄りの意見を聞くうちに、「自分たちが一方的に助けるというのではなく、普段からのコミュニケーションが大切」ということに気付いていった。

 その後も、模造紙に貼った付箋を動かしながら、子どもたちとお年寄りで意見をまとめていく。相互に▽普段からお互いが声をかけ、あいさつをすることが大切だね▽お互いの顔を知っていれば、困っているときすぐに手を差しのべることができると思う▽地域のふれあいが増えると、お年寄りもぼくたちももっと元気になっていくね▽地域の絆って、いきなりできるものじゃない。普段からお互いの顔を合わせて、関係を築いていくことが大切なんだ――と確認し合った。

 子どもたちは、地域のお年寄りとともに学習する中で、高齢者とともに生きようとする心や、自分にできることを実践しようとする意欲など、超高齢社会への意識を高めていったのである。

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