【連載】子どもの自立を育む学級経営 第8回 「半分見守る」段階を意識

京都文教大学准教授 大前 暁政

「あとは任せたよ」「まずは自分でやってごらん」「みんなはどう考えるの?」――。このような声掛けを学級の子どもたちにしているでしょうか。これらの言葉には意味があります。そして、それぞれ意味が異なっているのです。

「子どもの自立を促す学級経営」を実施するには、「子どもに任せて見守っていく」場面を用意しなくてはなりません。しかし、「任せる」「見守る」だけでは子どもの動きの質は高まりません。さらに、学級集団の質も高まらないことがよくあります。すると教師は、「これは一体、指導法の何がどう悪いのか?」と学級づくりに悩むことになります。

実は、教えておくべきは最初に教えておかないといけないのです。その教え方はいろいろあります。教師がモデルになって、言動の手本を示すのもよいでしょう。最初に言葉で「例えば、このような行動が質が高い行動だよね」と教えても良いでしょう。手本となる子どもを紹介するのも効果的です。これらの行動のどこが良かったのかをみんなの前で解説するのです。

このように、まずは教えるべきは教えるというスタンスを基本にしなくては、子どもの動きも学級集団の質もなかなか高まらないのです。良いイメージを子どもの頭の中につくらなければ、理想のイメージに近づくことは難しいのです。まずは、良い理想のイメージを子どもに理解させることが出発点となります。  そして、教えるだけで終わってはいけません。必ずフィードバックをしなくてはならないのです。授業では必ずフィードバックをしているはずです。

例えば、作文の書き方を教えて書かせたら、書かせっぱなしにする教師はいないと思います。書かせた作文を見て、どこが教えた通りにでき、どこがもっと改善すべき点なのかを評価・助言しなくてはならないのです。子どもの活動に対して良し悪しを返さなくてはならないのです。しかも、個別に一人ひとりに評価・助言しなくてはなりません。このフィードバックがないまま、作文を何枚書かせようが上達はおぼつきません。

実は、学級経営にも同じことがいえます。教師が個人の自律を促したいとか、望ましい学級集団をつくりあげたいと考えるなら、良いモデルを示し、どうして良いのかを教え、その後、子どもの言動を見取ってフィードバックしなくてはならないのです。そのようにしていれば、見守っていても、だんだん問題ない状態になっていくのです。ただ、「教える段階」から、一足飛びに「ほとんど見守る段階」に進むことはありません。(1)教える段階(2)半分見守る段階(3)ほとんど見守る段階――といった具合に「半分見守る」段階が入ってくるのです。  この「半分見守る段階」を意識できているかどうかが、子どもが無理なく自立できるかどうかのカギなのです。この半分見守る段階で、特に大切になるのが、やはりフィードバックです。「後は任せたよ」という場合は、最初に教えて、後から教えた通りにできたかどうかを教師がフィードバックします。

反対に「まずは自分でやってごらん」と任せるなら、とりあえず各々の考え方でやらせてみて、その後で、どういう言動が良かったかをフィードバックしてやります。「みんなはどう考えるの?」と、学級集団に任せる場合もあります。  半分見守る段階では、子ども自身が自分で反省したり、周りの友達から助言をもらったりすることも大切になります。

■参考文献『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』(大前暁政著、明治図書出版)

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