【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 19 教室環境のユニバーサルデザイン⑥ 役割の明確化

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 
先輩からの伝授も貴重

(6)役割の明確化

教室環境におけるUD、6つめの工夫としては、「役割の明確化」が挙げられます。その際には、子どもたちのテーマによってどういう視覚化をするかを検討・吟味することが必要です。

もし、全ての役割について片っ端から視覚化してしまうと、教室の壁一面が掲示でいっぱいになりかねませんので、ここは注意したいところです。

役割行動の遂行は、子どもたちの成長を促進するものだといえるでしょう。役割行動を支援して、その子なりに取り組めた時には、必ずプラスのフィードバックをしてあげてほしいと思います。  「今日の日直さんは、大きな声で上手にやれたね」とか、「掃除当番さんのおかげで、きれいな教室で勉強できてうれしいよ」とか。  そういったフィードバックが伴うと、自分が役割を果たすことが、大人に評価されていると感じることができます。

ふだんの学習に苦手感がある子でも、役割行動をやり遂げることで自分に自信を持ちます。苦手な学習にも取り組んでくれるようになることがあります。

そういう変化を促すという点で、役割行動の支援というのはとても大切なのです。

給食当番の例でいうと、パンの担当は誰、配膳台の担当は誰と誰、というように名札を入れかえて、役割行動をしやすくします。当番だけでなく、給食後の片付けなども、例えば班内で役割を割り振り、各班の番号1の子は班のお皿とカップを片付ける、などと決めておく方法もあります。

順番でごみの係になることには従うけれど、勝ち負けが絡んでじゃんけんで負けてごみ係にさせられるのは絶対嫌だ! というような子がいます。

そのせいでパニックになったりするので、最初から役割が決まっている方が対応しやすいのです。  ほかには、当番の仕事名が横に書き並べてある下に、短冊形の名札をズラッと下げ、仕事が終わった子から各自の名札をひっくり返していくというやり方もあります。

全員が名札をひっくり返すと裏には絵が描いてあって、子どもたちの好きなキャラクターの絵が完成する、などの楽しい工夫をしている先生もいます。

実はUD化、あるいは特別支援教育というのは、教育技法についても、教師がお互いに授業の知恵を出し合うといった面を持ちます。校内でUD化を検討することは、その知恵が伝わる大きな機会にもなっているわけです。

UD化や特別支援教育がなければ、若い先生が他の先生から教育技法を学ぶ貴重な機会が失われてしまうかもしれません。  ですから、工夫された先輩先生のスキルが次の世代に伝えられていくための、大切な場でもあると言えるわけです。