【連載】教師の“4ぢから”を高める 9 ケアする力③不適切行動の背景

文教大学教育学部教授 会沢信彦

近年、アドラー心理学に注目が集まっているようです。アドラーの高弟であるドライカースは、「子どもが不適切な行動を起こすのには4つの目標がある」と考えました。しかし、その4つの目標は、実は所属欲求を満たす、居場所を確保するという大きな目的の手段でもあります。

(1)注目・関心を引く

「クラスに居場所がない」「先生に愛され、認められていない」と感じる子どもは、「他児とは異なる行動を取って教師の特別な注目や関心を引こう」と考えます。ドライカースは、4つの目標を見分ける手段があると考えました。それは、「その行動を目の前にしたときの相手役(教師)の感情」です。子どもの不適切な行動の目標が「注目・関心を引く」である場合、相手役の感情は「イライラする」です。

(2)権力争いをする

教師から叱責を受け続けた子どもは腹を立て、「先生なんかに負けるものか」と考えます。先生に反抗し、自分がクラスのボスになれば、居場所が確保できるだろうと考えるのです。最初は「イライラする」程度であった教師は、叱責を重ねるにつれて次第に腹が立ってきます。これがこの段階の相手役の感情です。

(3)復讐する

力で押さえ込まれ、プライドを傷つけられた子どもは今度、歪んだ形で居場所を確保しようとします。その方法は、自分を傷つけた教師への復讐によってです。あるいは、復讐の矛先が教師ではなく、自分よりも弱い立場の子ども(いじめ)や、物(器物破損)に向かう場合もあるでしょう。子どもが復讐を目的に不適切な行動を起こすとき、教師もまた傷つきます。これが相手役の感情です。子どもはまさに教師を傷つけようとして、その行動を起こしているからです。

(4)無気力・無能力であることを示す

子どもはいよいよ積極的な行動を断念し、「せめて、自分が無気力で無能な存在であるとアピールして居場所を確保しよう」と考えます。「どうせ俺・私なんかダメな存在なんだから、放っておいてくれよ」というわけです。その際に相手役が抱く感情は諦めです。教師は、この子どもへの関わりを諦め、さじを投げようとします。

関連記事