世界の舞台にチャレンジを 国際科学五輪でトークセッション

t20151207「地道に勉強を続けるのが大事」「感性を磨いて」――。国際科学オリンピックに参加した日本代表経験者らが、集まった児童生徒らに、そんなメッセージを贈った。

これは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催する科学フォーラム「サイエンスアゴラ2015」の最終日、11月15日に行われた「科学オリンピックに集え 若きヒーロー・ヒロインたち」と題したトークセッションでの発言。

セッションでは、秋山仁東京理科大学教授が基調講演。90年代と比べて「卓越した才能を持つ若者を早期に見いだし、能力を伸ばす『才能教育』への社会の見方が変わり、必要性が理解されるようになってきたと感じる」と語った。

才能教育の在り方についてはスポーツ界での指導例を挙げ、「有望な青少年を早い段階で発掘し、確かな指導者の手で、知性だけでなく感性も含めて教育をするのがベスト」と提言。指導者には多様な評価基準で才能や適性を見いだす力、「磨かれていない原石を見抜く資質」が求められるとし、こうした優れた指導者の育成や、大学入試と学校教育のカリキュラム改革など、才能教育に適した環境づくりも必要と述べた。

来年8月の国際地学オリンピックを皮切りに、2018年に情報、2020年に生物学、翌21年に化学、22年に物理学と5つの国際大会が日本で開催される。

これに関連して、「才能を持つ生徒を発掘して伸ばすための格好の舞台。生徒にとっても、一生を通じて影響を残すような経験ができる」と語り、多くの生徒に関心を持ってもらう上で国際大会を日本で開催する意義は大きいと話した。

来場した生徒たちには「才能は努力とともに後からついてくる。興味関心や知的好奇心など、努力を続けられる原動力を持つのが大切」と強調。「科学オリンピックは、努力の後に喜びがあるのを実体験できる素晴らしい機会なので、ぜひ挑戦してほしい。そのチャレンジ意欲こそ才能の予備軍」と激励した。

国際大会代表経験者らを交えたディスカッションでは、「毎日、地道に勉強を続けるのがポイント」(国際化学オリンピック代表・廣井卓思さん)、「興味を持つ分野を追究する楽しさを味わって」(国際地学オリンピック代表・渡辺翠さん)、「感覚と感性を磨いてほしい」(国際数学オリンピック代表・中島さち子さん)などとアドバイス。

産業界を代表して出席したトヨタ自動車(株)の高原勇技術統括部主査は、「科学オリンピックは若い時期に世界を知る貴重な機会」と参加を促した。
司会を務めた内田史彦筑波大学教授は、「国際大会の日本開催を契機に産官学の連携がさらに深まり、国民全体が科学教育を応援する環境づくりが進むのを期待したい」と討論を締めくくった。

セッションのまとめであいさつした文科省科学技術・学術政策局の柿田恭良人材政策課長は、「来年から始まる日本開催に向け、代表生徒が十分な力を発揮できるよう、文科省としてもJSTを通じて事前準備などの取り組みをしっかり支援していきたい」とし、「今日の先輩たちの言葉を力に、皆さんもぜひ国内大会にチャレンジしてほしい」と呼びかけた。

この科学フォーラムは、11月13日から3日間、都内のお台場地域で開催された。国内最大級の科学イベントとして10年目となり、ブース展示や実験・工作体験、ワークショップなど約200企画を実施。科学に関心を持つ児童生徒や家族連れで連日にぎわった。