タブレットで互いに運動を確認 生徒の適切な助言力が高まる

生徒一人ひとりの課題を可視化し客観的につかめるようにした
生徒一人ひとりの課題を可視化し客観的につかめるようにした

東京・板橋区立中台中のICT活用 パナソニック教育財団の特別研究指定校

東京都板橋区立中台中学校(北村康子校長、生徒数272人)は、平成27~28年度の(公財)パナソニック教育財団の特別研究指定校として実践研究助成を受けている。平成28年度には教科センター方式校舎の改築が完成する。各教科教室(教科センター)での学習体制や電子黒板、タブレット端末などのICT環境を生かし、生徒の主体的、協同的な学習の実現と思考、判断、表現力を育む実践研究を推進している。11月に行った2年生保健体育の単元「男子・バスケットボール」「女子・マット運動」の授業研究では、グループで互いの動きをタブレット端末で撮影。映像を視聴しながらパスの仕方や動作の確認を行い、良い点や課題を正確につかみながら、習熟度の異なる生徒相互で良いアドバイスを送り合う取り組みを実現している。

技の習得に向け課題を具体的に理解し学ぶ

吉田昌弘主幹教諭による2年生保健体育科の授業「女子・マット運動」では、生徒が数人のグループで互いのマット運動をタブレット端末で動画収録。生徒個々の課題となる動作を動画で可視化し、評価の観点に基づき、丁寧に客観的に確認しながら、技能習得に有効に生かすようにした。

この時間では、同単元の技のレベル全5ステップのうち、3から4のステップに向けた練習に取り組んだ。3ステップは「補助倒立から前転、足交差、後転、伸膝後転」の連続技がテーマ。4ステップは「倒立前転から前転、頭はねおき、後転、伸膝後転」と補助がなくなり、技の難易度も高まるため、ベースとなる3ステップの確かな習得が課題になる。そこで、それぞれの課題や苦手意識に応じて回転、倒立系の練習マットを別々に設置し、グループで練習を積むようにした。

最初の倒立動作では、足の伸ばし方や、次の前転動作を見据えた頭の位置や目線などを意識するべく、各グループで生徒相互がタブレット端末のカメラを演技者に向けた。一通りの撮影後、気恥ずかしそうに自分の演技を見つめた生徒は、「足が伸びていない」などとつぶやく。技の習得ができている生徒が習得に課題のある生徒の動きを見て、倒立から前転に移る際に、「背中を丸くするといいよ」などとアドバイス。互いに上達に必要な観点をつかみ合うようにした。

各自、動画で自分の動きや体勢を客観的に確認しながら、連続運動の体勢や視線などにかかる助言を振り返り、動きを具体的に習得していった。その後、再度、倒立から前転、後転から伸膝後転などの練習を繰り返した。

後半は3ステップの連続技を身に付けている生徒らが模範演技を披露。技が身に付いていない生徒はタブレット端末で見た自分の演技や仲間からの助言を思い起こし、スムーズな連続動作に必要な体の各部位の動かし方を意識しながら技を習得しようと、課題練習に生かした。

今年度から同校では、全教科でタブレット端末を活用した取り組みを続けている。吉田主幹教諭は、「動画で自分の運動を視覚的に振り返り、具体的な課題点を的確・実感的に捉えられるようになってきた。修正点を言葉にしてアドバイスし合う中で、助言する力やより的確な課題把握にも役立っている」などと、取り組みの意義を示した。加えて、タブレット端末の利点として「従来のビデオカメラなどを使った方法よりも、簡易な収録とスピーディーな動画確認が可能になり、とても良い」などと話す。

生徒の主体的、探究的学びを支援

研究では、タブレット端末をはじめとするICT活用や教科センター方式による教科専門教室などの環境整備によって、生徒の主体的、協同的な学びや思考、判断、表現力の育成を図る実践を追究した。

平成28年度の教科センター方式校舎に移行するにあたり、平成26、27年度のいたばしの教育ビジョン研究奨励校、平成26年度~30年度の指導力向上研究推進校、平成27年度の板橋区アドバンススクールとなり、研究実践を積み重ねている。

整備を進めている教科ごとの教科メディアスペースには、現在使用している電子黒板とタブレット端末を設置し、生徒が教室を訪れ、それぞれが探究したい学びのために自由に利用できるようにする。

来年度からの教科センター方式では、全教室でICT整備を完了する予定。さらに、以降、同区では全小・中学校の全普通教室に電子黒板および実物投影機、1クラスの生徒1人1台分にあたるタブレット端末40台整備も進行中となっている。同校は、これまでにもICTを駆使した学びを全教科のあらゆる場面に位置付けて実施している。

国語科では、短歌の発展学習として個々の生徒のタブレット端末に「夕暮れ」など、さまざまな自然風景の画像を映し出し、生徒たちの作品制作のインスピレーションや豊かな情操を引き出すようにした。理科では、いろいろな物体の運動とその違いを電子黒板の動画シミュレーションで見させ、運動法則の実感的な理解を深めさせるようにしている。

このような確かな学力を促進する環境と実践の工夫を全教科で取り組み、北村校長は「昨年度と今年度の全国学力・学習状況調査の比較で、生徒の学習習慣や自尊感情、規範意識の向上などが大きく向上した」などと手応えを語っている。同校の第2年次「研究実践報告会」は、来年2月29日午後から開催予定。

同校/℡03(3932)6357。

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