【連載】特別支援教育の根本 10 障害程度より生活に力点

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

前回は知的障害の定義を中心に述べた。今回は知的障害の特別支援教育について考えたい。

いま「インクルーシブ教育」が推進されている。その中で障害と教育の場をどう考えたらよいか、戸惑いと混乱があるように感じる。障害の有無にかかわらず、児童生徒が同じ学校、学級で学ぶことが、簡単にいうなら「インクルーシブ教育」である。障害のある児童生徒本人が授業内容が分かり、学習活動に参加して達成感や充実感等もち、生きる力を身に付けられる。それが根本である。

そのために障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の思い、教育、医学、心理学等の専門家の意見、学校や地域の状況等で総合的な観点から就学先を考えるのが大切である。特に知的障害の場合は、特性等から十分な時間をかけて熟慮する必要がある。

平成14年の学校教育法施行令改正では、特別支援学校に就学すべき障害の程度(就学基準)を、医学や科学技術の進歩等を踏まえて、障害ごとに内容の見直しがなされた。就学基準に該当する児童生徒を、市区町村教委が、小・中学校で適切な教育を受けられる特別の事情があると認める(認定就学者)認定就学制度の導入もなされた。また市区町村教委に教育学、医学、心理学等の専門家の意見聴取も義務付けられた。

平成19年4月1日に施行された学校教育法施行令の改正で、障害のある児童の就学先の決定に際しては、専門家からの意見聴取とともに、保護者からの意見聴取も義務付けられた。

学校教育法施行令第22条の3に、特別支援学校(知的障害)の対象者である児童生徒の障害の程度は「1知的発達の遅滞があり、他人との意志疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの、2知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応を著しく困難なもの」としている。

文科省初中局特別支援教育課(平成25年10月)の教育支援資料の説明では、「知的発達の遅滞があり」とは、認知や言語などにかかわる知的機能の発達に明らかな遅れがあること、「他人との意思疎通が困難」とは、特別な配慮なしに、その年齢段階に標準的に要求されるコミュニケーション能力が身に付いていないため、一般的な会話をする際に話された内容を理解することや自分の意思を伝えることが著しく困難であり、他人とのコミュニケーションに支障がある状態を示す。

「日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする」とは、一定の動作、行為の意味、目的必要性を理解できず、その年齢段階に標準的に要求される日常生活上の、ほとんどの場合または常に援助が必要である程度のことをいう。「社会生活への適応が著しく困難」とは例えば、低学年段階では、他人と関わって遊ぶ、自分から他人に働きかける、友人関係をつくる、簡単な決まりを守って行動する、身近な危険を察知し回避する、身近な日常生活における行動(身辺処理など)が特に難しいことなどが考えられる。

この知的障害の程度については、改正前は、「中度」「軽度」などと書かれてあった。これらが、日常生活と社会生活への適応能力の観点を含めたものとして改められた。これはWHOが、01年(平成13年)に、国際障害分類を国際生活機能分類(ICF)に変更した影響などが考えられる。

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