【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 20 中学校における視覚化① 教室環境について

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

「教室環境のユニバーサルデザイン(UD)化」においては、掲示物の視覚的な工夫が非常に重要となります。特に「中学校における掲示」については、小学校に比べて、よりメンタルな部分の成長を助ける留意が重要になります。

中学校における視覚化(掲示)

(1)生徒の成長が分かる掲示
(2)規律ある態度を育成する掲示
(3)学級の絆を深める掲示
(4)活躍を称賛する掲示
(5)心を豊かにする掲示
(6)安全・安心を伝える掲示

「生徒の成長」を促すという着目は、とりわけ大切だと思います。子ども自身がその成長を認識できると、それをさらに自分のエネルギーに変えていけるからです。

自分はこんなにやれるようになったとか、やれなかった自分からやれた自分に変われたと思うことで、最終的には生徒たちに自分で自分を認められる人になってもらいたい、と考えています。

そこにつなげるためには、先生方にもっと生徒の成長ぶりについて発見したり、感心したり驚いたりしてもらいたい、そしてそれをぜひ掲示に反映させてほしいと思います。

「グッドメモリーを積み重ねる」をテーマとした掲示に取り組んでいる先生もおられます。4月から3月までの1年間の生徒あるいは学級の成長を、クラスのグッドメモリーとして年表のように掲示していくのです。

その際に気をつける点としては、季節感を取り入れることです。季節ごとの年中行事を大事にしていく。季節感のある掲示と意図的掲示、そこにグッドメモリーを重ねる掲示をプラスしていくかたちにします。

学校教育の中では習慣的に行われていくうちにそれが何のためになされているのかが途中であいまいになってしまい、ではやめてしまおう、となってしまうことが往々にしてあります。

つまり最初に導入した人は、それなりの意図を持ってやっていたのに、時がたつうちに意図が希薄になり、伝達されなくなり、そのうちに廃れてしまう、ということが起こりがちなのです。

掲示物を貼るということは、昔から当然あったことですが、それをUD化的あるいは特別支援教育的に意味づけることで、意味があるものを選択的に残し、伝えていけるように思います。

学校の機能における問題点として、「伝達の難しさ」ということがあるのではないでしょうか。同僚などとの横の伝達にしても、経時的な引き継ぎ伝達にしても、非常に難しいのです。

多くの人が入れ替わる教育現場で、1つの情報をずっと伝えていくというのはとても難しいのです。情報引き継ぎのUD化がとても重要になってくるのです。