【連載】若手教師講座 教材研究の達人を目指そう 第8回 理科 初級編2

監修 (一財)総合初等教育研究所 梶井貢

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問題意識をもたせて観察・実験を
「調べたい」「確かめたい」という思いを軸に

問題解決のプロセスは踏んでいるのに、児童が意欲的に問題を解決しているようには思えないという状況はありませんか。ただ問題解決の順を追って授業を行っていれば、必要な資質・能力を身に付けられるということではありません。どのように問題解決のプロセスを踏んでいけばよいのでしょうか。今回は、理科における主体的な問題解決について説明していきます。

ポイント1
主体的な問題解決は問題づくりから始まる

主体的な問題解決は、まず、問題づくりから始まります。新たな事象と出合う場面や目的のある活動を設定する中で、児童は新たな気付きや疑問をもちます。それらをもとにクラスの問題として設定します。大切なことは、児童が「調べたい」「確かめたい」という思いをもって問題をつくっているかということです。

本時の問題を設定する際には、まず、昆虫などの動物を観察する活動から行います。そして、どんな場所でどんな動物がいたのか、経験を交えながら話し合います。話し合う際には、まず、個人で自分が見つけた昆虫などの動物とそれらがいた場所を付箋紙に書きます。それをグループでホワイトボードに貼り、どんな場所にどんな昆虫などの動物が多いのかを集約していきます。

次に、集約したものから気付いたことや疑問に思ったことをまとめ、問題をつくります。今回の授業では、「虫などの動物は、どうしてその場所にいるのだろうか」という問題をクラスで設定しました。大切なことは、何のために問題解決をしていくのか、しっかりと目的意識をもたせることです。

ポイント2
予想や仮説を検証するための観察・実験

問題が設定できたら次に予想や仮説を立てます。既習内容や生活経験をもとに、根拠のある予想や仮説を立てるようにしましょう。予想や仮説については、話し合いをもつことで、自分の考えをより確かなものにすることができます。

次に、予想や仮説を検証するための観察・実験を行います。予想や仮説が同じ児童同士でグループを組み、観察・実験を計画することで、予想や仮説に合わせた方法を計画することができます。さらに、結果の見通しをもたせることで実験の目的が明確になり、実験の結果が出たときに予想と一致したのかどうかを認識できます。

本時は、昆虫などの動物の観察ですが、しっかりと問題意識をもたせて取り組ませることが大切です。昆虫などの動物がどこで何をしているのかという視点をもって野外に出るようにさせましょう。

ポイント3
考察をもとに全体の結論を導き出す

観察・実験後は、結果をノートやワークシートに記録します。表やグラフ・図などにまとめると分かりやすく、クラス全体で共有できます。個人やグループの結果の数値をシールでグラフに表すと一目で散らばりの様子を把握でき、全体の結果を共有することになります。したがって、問題によってどのような表現の仕方が適切なのか考えておきましょう。

次に、結果をもとに考察します。自分が立てた予想や仮説と比べて一致したのかどうかを判断します。考察をもとに話し合い、全体の結論へと導きます。

本時では、個人が調べた観察結果をもとに、板書し、話し合いを進めます。

▽「ダンゴムシはうえ木ばちの下にいた」「ダンゴムシはコンクリートのあなのところにいた」↓暗くてしめったところにいる。
▽「クモはクモのすにいた」↓虫とかのえさをつかまえるため。

そして、児童の考えの共通点について話し合い、板書例のように食べ物については赤い線、隠れる場所については黄色い線などのように色別に下線を引きます。そうすることで児童も結果を視覚的に捉えることができ、内容を整理して考えることができます。その後のクラス全体の結論へとスムーズに導くことができるでしょう。

[まとめ]

今回は、問題解決のプロセスについて詳しく説明しました。最近、「問題解決の形骸化」という言葉を耳にします。問題解決のプロセスを授業に取り入れることは、限られた時間の中で決して容易なことではありません。そのための準備や教材研究にも力を注ぐことが求められます。それでも問題解決の授業を大切にしていくのは、そのプロセスの中で児童にとって必要な資質・能力を育むことができるからです。児童が主体的に問題解決に取り組めるよう、教師は教材研究を日々積み重ねていきましょう。

(担当・東京都多摩市立西落合小学校 坂野真貴子)


[単元について]

(1)単元名

「身近な自然の観察」

(2)単元の目標

身の回りの生物の様子やその周辺の環境について興味・関心をもって追究する活動を通して、身の回りの生物の様子やその周辺の環境とのかかわりを比較する能力を育てるとともに、それらについての理解を図り、生物を愛護する態度を育て、身の回りの生物の様子やその周辺の環境との関係についての見方や考え方をもつことができるようにする。

(3)単元の指導計画(7時間扱い)

・学校や近くの野原などで、生き物を観察する。
・気付いたことや疑問に思ったことをもとに問題をつくる。
・生き物はどんな色、形、大きさをしているのか予想し、観察する。
・昆虫などの動物のすみかについて話し合い、問題をつくる。
・昆虫などの動物はどんなところをすみかにしているのか予想し、観察する。(本時)

[本時の指導略案]

(1)目標

身の回りの生物の様子やその周辺の環境とのかかわりを比較して、差異点や共通点を考察し、自分の考えを表現する。

(2)展開

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[今回の教材研究のポイント]

▽主体的な問題解決は問題づくりから始まる
▽予想や仮説を検証するための観察・実験
▽考察をもとに全体の結論を導き出す

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