【連載】子どもの自立を育む学級経営 第10回 教室で輝ける場所はあるか

京都文教大學准教授 大前暁政

 

〈訂正〉1月7日に掲載した「子どもの自立を育む学級経営 第10回」の見出し「2つのロールモデルを意識」とあったのは「教室で輝ける場所はあるか」の誤りでした。(1月8日)

子ども一人ひとりは、それぞれの良さをもっています。その良さを生かせる場を、教室の中で用意しているでしょうか。簡単なのは「良さが目立つ子」です。長所が目立っているのですから、簡単に輝ける場所が見つかるはずです。

「積極的なAさんは、いつもリーダーをやってくれる」「運動の得意なBくんは、体育になると活躍してくれる」

こういった具合です。では、それ以外の、なかなか自分の活躍の場が見つからない子はどうでしょうか。
教師にとって長所よりも短所が目立つ子は、叱責されてばかりという場合が往々にしてあります。また目立たないおとなしい子も、なかなか自分が活躍できる場がなくて、1年が過ぎてしまうということもあります。

つまり、教師が意識的に、「必ず全員に、教室の中で輝ける場所を用意する」と決意するからこそ、教室の全員に自分の良さを生かせる場を用意できるのです。

「いつも消極的なCさんの良さが生かせるのはどんな場だろうか?」「やんちゃで元気のいいD君は、どこに活躍の場があるだろうか?」このように、一人ひとりが活躍できる場を考える必要があるのです。

ここで大切になるのが、次のことです。

(1)「教師が思っている短所は、場合によっては長所になる」

例えば、消極的なCさんで考えてみましょう。一見、Cさんは消極的で、リーダーとして前に出ることはありません。それに加えて、Cさんは、運動も勉強も、得意ではありません。いつも、集団の中の一番最後にくっついていくような子です。教師はこのCさんの消極的な面を何とか積極的に変えようとしました。しかし、なかなか性格が急に変わるものでもありません。結局うまくいかないまま1年が過ぎました。

しかも、教師の強引な指導で、Cさんは無理矢理リーダーを任されて失敗し、自信を失ってしまったのです。こういうことはよくあります。ではどうすればよかったのでしょうか。

消極的な面を短所だと思わずに、長所ととらえればよかったのです。つまり、消極的で一番最後にみんなについていくというのは、ある意味で、周りの空気に敏感で、みんなの状況をよく観察できるという長所でもあります。であるならば、例えば、リーダーではなく、よきフォロワーとしての存在感を発揮してもらったり、場合によっては副リーダーとしてリーダーを支えてもらったりしてもらえばよいのです。

もう一つ、教師が意識しておきたいことがあります。

(2)「教師が長所だと思っていること以外にも長所は隠れている」

例えば、やんちゃなD君で考えてみましょう。やんちゃなD君は、いつもいたずらをしたり、騒がしかったりするので、教師に怒られています。ただし、元気がいいので、教師は「元気のよさ」を生かそうと思って「応援団」の団長に任命したり、お楽しみ会などでの盛り上げ役に任命したりしてきました。

ある日、学級の中でみんなから差別を受けていた子が「差別を受けていて悲しい」という訴えを起こしました。担任教師は、学級の全員に、差別はだめだという話をしました。それを聞いていたD君は、みんなに「差別をやめよう」と呼びかけたのです。それを知った担任は、D君には「人の悲しさを共有できる優しさ」があるのに気付きます。そして、みんなの困ったことを解決するための学級会の司会に任命したというわけです。人は、「ここには、自分の居場所がある」と思えるところでは、高いパフォーマンスを発揮することができます。

教室の一人ひとりに輝ける場所を用意しているかどうか。それを教師は振り返ってほしいと思います。

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