【連載】教師の“4ぢから”を高める 10 ケアする力④ 勇気づけ

文教大学教育学部教授 会沢信彦

不適切な行動を起こす子どもに対して、教師はどのような関わりをすれば良いのでしょうか。

私たちは、子どもの問題行動を目にすると、まずは何とかしてその行動をやめさせようと考えます。しかし、ドライカースの理論によれば、忘れてはならないのは、子どもは「所属欲求が満たされていない(学級に居場所が無い、先生から認められていない、愛されていない)」と感じているからこそ、不適切な行動を起こすのだということです。

したがって、そのような子どもに対して教師がすべきことは、「君は先生や学級にとってかけがえのない大切な存在なのだよ」というメッセージを送ることです。

そのために教師にできるのは「不適切な行動に注目するよりも、適切な行動を勇気づける」ことです。もちろん、授業の進行を妨げたり多児に危害を加えたりする行動に対しては、即座にやめさせなければなりません。しかし、その一方で、問題でない行動、普段の行動に目を向け、勇気づけることが大切だとアドラー心理学では考えます。

授業中に落ち着き無く立ち歩いたり他児としゃべったりしている子どもは、いつも教師から叱責を受けるため、ますますイライラして問題行動を繰り返すという悪循環に陥る場合が少なくありません。しかし、そんな子どもでも、授業中15分くらいは教師の話に耳を傾けたり課題に取り組んでいたりしているかもしれません。そんなときこそ、机間巡視の中でさりげなくその子どもに近づき、肩をポンと叩き、ひとこと励ましの言葉をかけてはどうでしょうか。

もし権力闘争に陥ってしまったとしたら、そのことに気付いた側、つまり教師が権力争いの舞台から降りることが必要です。また、不幸にして復讐の段階に陥ってしまったら、他の教師など、第三者の助けも必要でしょう。さらに、無気力・無能力の誇示の段階になってしまったら、とにかく諦めずに関わり続けるしかありません。

つまり、どの段階であっても「不適切な行動に注目するよりも、適切な行動を勇気づける」ことが、問題行動に対する対応のセオリーなのです。

では、子どもを「勇気づける」にはどうすればよいのでしょうか。詳しくは参考文献をお読みいただくとして、ひとことで述べるとすれば、「子どもの良いところや強みに目を向ける」ことに尽きるのではないかと私は考えています。

全ての教師が「勇気づけの達人」になることが、学校からいじめや不登校を無くす第一歩であると確信しています。

参考文献=会沢信彦・岩井俊憲(編著)『今日から始める学級担任のためのアドラー心理学』図書文化社、2014年