【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 21 中学校における視覚化② UD化プラス精神論

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

中学校においては、教室環境のUD化と生徒指導はリンクしているといえるでしょう。発達障がいのある生徒も、非行問題行動の生徒も、授業が分からない、面白くない、やるべきことが分からない、だから落ち着きがなくなるのではないか。との視点で指導を見直すのは非常に重要です。

そこで、授業のUD化に取り組むわけです。第一に教室の刺激を制限するところから始めます。具体的には、教室の前面掲示をすっきりさせる。机や廊下を整理してから下校させる。教室のカーテンにくるまって遊ぶ生徒対策として、カーテン止めを確実にする。ビニールテープで床に印を付け、机の位置を合わせられるようにする。予定表を活用する。

前回紹介したような当番表を作る。作業の流れを視覚化して掲示するなどの取り組みを導入している中学校があります。小学生のような取り組みとばかにせず、積極的に実践しているのです。中学校らしくするポイントは、教室環境のUD化だけにとどまらず、プラス精神論に持っていくことです。教室の乱れは、授業への取り組みのいい加減さや作業中のけがにつながります。

まず、掃除の大切さから伝えます。生徒指導も兼ね、掃除に対する姿勢を生き方に置き換えるくらいの勢いで、機会があるごとに話します。掃除の大切さを説くのです。

常にきれいな環境を心がけるよう生徒に要求しながら、教室を大事にする気持ちを育てていきます。先生が定期的に生徒用のトイレに入り、率先して窓を開けたり、花を飾りトイレをきれいにする。そんな指導も生徒によく響きます。

小学校では掃除の仕方を理解させるのに重点を置きますが、中学校ではそれだけではなく、なぜ掃除が大事なのか。なぜ丁寧にやる必要があるのかを精神論として指導します。積極的に生徒たちの心に働きかけます。

各教員が自分たちの持っている教室環境整備のノウハウを書き出し、それをファイルにまとめるのもよいでしょう。いわば知恵のつまった宝物のようなファイルです。「荒れ」は、小学校から続いていくので、小中連携して、小学校でも同じようなファイルを作ってもらい、協力して取り組むと非常に効果的です。

小学校高学年と中学校の掲示物をそろえると新入生の戸惑いを軽減します。それによって中1ギャップを乗り越えられた地域も実際にあります。これらの配慮によって、不登校生徒が減少した中学校もあるのです。

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