【連載】特別支援教育の根本 11 障害を固定的に考えない

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

知的障害の特別支援学級、知的障害特別支援教育の教育課程について考えたい。

平成25年10月4日付け25文科初第756号の初等中等教育局長通知は、知的障害特別支援学級の対象となる知的障害の児童生徒の障害の程度について、次のように述べている。「知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり、日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの」

ここで軽度とは、どの程度を考えているのであろうか。障害をIQ(知能指数)で規定することなく、日常生活や社会生活への適応能力等の観点から考えている。

平成25年10月の文科省初等中等教育局特別支援教育課の教育支援資料の説明では、「その年齢段階に標準的に要求されている機能に比較して、他人との日常生活に使われる言葉を活用しての会話はほぼ可能であるが、抽象的な概念を使った会話などになると、その理解が困難である程度のもの」としている。かつて知的障害の軽度とは、IQ50~75程度を考えていた。

しかし、知能検査による知能指数は一つの指標にすぎないので、それだけで決めるのはよくない。また測定者によって変動がでたり、測定値にはプラスマイナス5の測定誤差がでる。発達期であれば変動がでる場合がある。測定者と子どもとの信頼関係や、心理的・社会的環境条件の影響や子どもの身体的状況の影響なども考え合わせて、慎重に判断すべきである。

しかし、専門家による知能検査の結果は、一つの判断の資料として重要である。子どもの生活・学習場面等の観察状況も大切な資料であり、総合的に判断すべきである。知的障害を理解するのは大変難しい。決して障害やその程度を固定的に考えてはならない。障害のある児童生徒は一人ひとり違う。その障害特性などをよく理解して、指導内容、指導法、教材、施設設備等を考えていくことが大切である。

障害特性等を考えて、どのような特別支援教育をすればよいだろか。

乳幼児期では、言語の発達、着替えや排せつ等の基本的生活習慣など。学齢期では、コミュニケーション能力、対人関係の形成、生活に結びつく具体的、実際的内容の指導。学齢期以降では、将来社会自立への能力、障害を克服するための知識、技能、態度、習慣を養うこと等である。

それをどのように指導したらよいであろうか。

教育課程の基本は、小・中・高校等の学習指導要領に準じていく。さらに、児童生徒の発達、特性、地域の実態等に応じて考え、編成する。特に障害に基づく種々の困難を改善・克服するための、「自立活動」という特別の指導領域、学校教育法施行規則の規定により、教育課程の特例として、教科を全部または一部を合わせて授業したり、特別な教育課程が認められたりしている。

知的障害特別支援学校の小学部では、各教科、自立活動、日常生活の指導、生活単元学習、遊びの指導、総合的な学習、特別活動等の学習内容で行う。中学部では、各教科、自立活動、日常生活の指導、作業学習、生活単元学習、総合的な学習、特別活動等の学習内容で行う。高等部では、各教科、自立活動、日常生活の指導、作業学習、総合的な学習、特別活動、情報、外国語等の学習内容で行う。

特に自閉症の児童生徒には、社会性の学習を学習内容に入れた授業を行う場合がある。 

小・中・高校に準ずる教育を行うのだが、障害のある児童生徒のための特別支援学校学習指導要領は、障害による困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能をつけることが目的であるのを忘れてはならない。

次回は、教育課程の特例について考えたい。

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