【連載】幼小接続スタートカリキュラム 9 活動を通した体験から学びへ

聖徳大学短期大学部保育科准教授 金玟志

 

幼稚園やオリニジップでの遊びや活動を通した楽しい体験が小学校での学びとして継続されるためには、反復指導を通した学びの繰り返しが求められます。では、実際、韓国の幼稚園やオリニジップでの活動がどのように小学校での学びにつながっているのか、まとめてみましょう。

■「絵本」を通した幼児期における学びの体験と小学校での学びの連続性

日本の場合も、幼稚園や保育園、認定こども園で読まれていたたくさんの絵本の中で、小学校の「国語」の教科書に収録されているものがあります。『おおきなかぶ』『スイミー』、『さごじぞう』『てぶくろをかいに』『ごんきつね』(小学校4年生)、『がまくんとかえるくん』(小学校3年生)など、園で読み聞かせやいろいろな場面で用いられた絵本が作品として記載され、これまでは物語を楽しむのが主だった活動が、小学校では本文から、「主人公や登場人物の思いがどうだったのか」「私は何を感じたのか」など、ストーリを楽しむだけではなく、文章としてつづられている言葉の奥底の思いを理解することが求められます。

また、段落を区分して物語の構成を学ぶ内容もあります。

日本同様に、韓国でも幼児期に親しまれた絵本が小学校の「教科書」に収録されています。

しかし、「ヌリ課程」の導入により、絵本の読み聞かせの後、活動を通して、より深めた内容を意識できるような工夫がなされています。

例えば、『大丈夫』という絵本は、幼稚園やオリニジップでは、読み聞かせの後に、次のような活動が行われます。

まずは、ヌリ教材により、(1)動物の特徴と長所について考える(ダチョウは他の鳥と何が違うのかを話す/もし、キリンのように長い首なら何が良いかを話す)(2)自分について考える(私の特技は何だろう/自分が好きな表情は)(3)「大丈夫」と言ってみよう(友達が駆けっこで負けたら、どんな気持ちだろうか/そのお友達に何と声をかけたら良いだろうか)を分かち合い、ヌリ教具活動に入ります。

(1)それぞれ登場する動物は、なぜ大丈夫だったと言っていたのかを考えてみる。多様な表情を見てその気持ちを探ってみる(3)自分の得意なものを考えてみる(顔を描いてみよう/特技は何か話してみよう)の活動を行います。

また、絵本を用いる際には、保育者として子どもに勇気と自信を与えるように言葉かけに留意することを、指導書では詳しく述べています。(「私はあなたを信じているよ」「あなたが成し遂げると思っていたよ」「努力する姿を見たら誇らしく思えるよ」「あなたがやってみたいことをしたね」「誰でも失敗はするよ」「大丈夫だよ、先生がいるから」など)。

また、小学校1年生の「国語」の教科書では、「自分自身について調べてみよう」という単元から、絵本の内容がそのまま記載され、(1)絵と文字がどのような関連があるのか考えてみよう(アリは、何が大丈夫だと言ったのか/ハリネズミは、何が大丈夫だと言ったのか/ダチョウは何より早く走れるか/動物たちが女の子に「君は?」と聞いたとき、女の子の表情はどうだったのか)(2)自分の特技は何か、絵と文字で表現してみようと、ほぼ同じ内容で繰り返した学びが行われているのが分かります。

つまり、読み聞かせを通して理解した内容を言葉や絵で表現した活動から、今度は絵と文字に注目しながら自ら読み解き、絵本の内容を幼児主導型で気付くような学び方になっています。

特に、小学校の国語の教科書は、子どもが文字や絵を描けるようなノート型になっており、付録として付いているシールを貼ったり、単語カードを用いられるようなものになったりしており、子どもの一人ひとりの幼児主導の教材になっている点も、大きな特徴であるといえます。

絵本の内容によって事例のように「国語」の単元で用いる場合もあれば、「数学」や「正しい生活(道徳)」「賢い生活(理科)」の単元で用いる場合もあり、幼児期の学びを継続的な学びとして活用しています。

■生涯学習としての学びへの意識

昨年9月、韓国は大々的な教育課程の改訂を通して、「人文学的想像力」「科学技術への創造力」「全人教育を通した人創意融合型人材の育成」を掲げ、具体的な教育課程の内容を提示しました。新教育課程の導入により、教科書の見直し・大学入試制度・教員養成制度においても全般的な変動をもたらす結果となり、2020年からは、小学校から高校まで全ての学年に適応することを目標としています。

高校では、これまで分けられていた文系・理系の分け方を取り止め、学生の適性や進路に合わせた選択科目を用いるようになります。

「国語」「英語」「数学」などの基礎教科が総履修単位の50%を超えないように調節する(現行、90単位↓改訂後は84単位)ことが義務付けられ、今後、大学入試制度の見直しが必要になりました。中等教育においては自由学期制度を導入し、今年3月から実施することになりました。

特に、期末テストなど、これまでの評価基準を体験型教科活動を通して学生自ら進路を模索できるように、また将来設計に集中するための教科活動を意識し、「暗記中心型の学び」よりも「協同学習」「グループワークを通したディスカッション」に比重を置くこととなりました。

さらに、情報化時代に合わせソフトウェア教育も強化され、「情報」科目は「科学・技術/家庭/情報」として必須科目に定められ、毎週1時間(45分)の授業として配分されるようになりました。

小学校では、これまでの「ヌリ課程」との連携を強化し、さらに「安全教育」と「ハングル教育」が加わります。小学校低学年では「安全な生活」という教科を定め、この教科は「国語」や「算数」などの一般教科と連携し創意的な体験活動として取り入られるようになります。

例えば、「楽しい生活」の「春を感じる(春に出かければ)」の単元で、危険な動植物から身を守ることなども学びます。「ハングル教育」では、1年1学期27時間以上と定めている学びの時間を大幅増加した45時間に設定することにおり、「ヌリ課程」における学びの連続性をさらに意識することとなりました。

2012年始まった「ヌリ課程」は、このように、幼児期の教育課程を統合しただけではなく、幼少接続を意識したカリキュラムをはじめ、今はその後の学校制度に至るまで生涯学習としての学びの根幹にあるといえます。

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