【連載】教師の“4ぢから”を高める 11 つながる力① 関係づくり

文教大学教育学部教授 会沢信彦

連載第1回で書いたように、都市部の小学校を中心とする若手教師の大量採用に伴い、若手教師の育成が学校教育全体の大きな課題になっています。希望に燃えて教師になった新人教師が心を病んだり、離職したりする背景には、学校現場の余裕のなさや保護者の変化など、さまざまな要因があります。その1つに、若手教師とベテラン教師のコミュニケーションがうまくいっていない点はありそうです。

新人教師が、分からないことだらけなのは、今も昔も変わりません。学校現場に余裕があったころなら、放課後、先輩教師に相談して教えてもらったり、延長として居酒屋で飲みながら、授業や生徒指導のコツを学んだりは少なくなかったはずです。

しかし、今はそうもいきません。相談しようにも職員室の同僚はほとんどパソコンとにらめっこ。プライバシーを重視する社会風潮もあって、「帰りに軽く一杯」という機会もめっきり減りました。職員室にいるのは、若手教師以外では、自分の親と同じ世代のベテラン教師ばかりです。何となく、気軽に声をかけられる雰囲気ではありません。

一方、ベテラン教師は、若手教師が困っているのを目にして、自分の経験を伝えたい思いはもっています。しかし、〝今時の若者〟である若手教師に、どう接すればよいのか分からず、自身の多忙さもあって、やはりなかなか声がかけられません。

若手教師とベテラン教師が、互い近づきたいのに引いている。これが今の職員室の姿ではないでしょうか。私は、若手教師にもベテラン教師にも、ほんの少しの勇気を持って、ぜひ一歩を踏み出してほしいと願っています。

若手教師は、自分が苦手にしている分野を得意なベテラン教師に目星を付け、「すみませんが、跳び箱の指導について教えていただけませんか」とお願いしてみましょう。

A先生とB先生のアドバイスが正反対という場合もあり得ます。そんなときは、「ありがとうございました。助かりました」とお礼を言って、自分が納得のいく方法を試してみればよいでしょう。これも「ソーシャルスキル」の1つです。

ベテラン教師も同じように関わればよいのです。「困ったら何でも相談して」と言うだけでなく、若手の得意分野を見つけて教えてもらうのです。「○○先生はパソコンが得意だね。私は苦手なの。今度教えて」といった具合です。

経営学者のドラッカーは、経営の要諦として、「部下の強みを生かす」を繰り返し強調しています。若手とベテランが互いの強みを生かせば、教師一人ひとりの持ち味が発揮される居心地の良い職員室ができるはずです。

関連記事