【連載】スクールカウンセラーひと口アドバイス 71 学用品がよくなくなる

臨床心理士 小見祐子

生徒の気持ちに共感して対応を

中1初担任です。正月明けから鉛筆やシャープペンシル、消しゴムなど学用品がなくなり、今度は体操着がなくなったと訴えがありました。その都度、もう一度よく探してみるよう指導したり、整理整頓を心がけ、名前も書いておくなどの対応をしたりしていたのですが、改めて見つかったか聞くと、ないとの返事。さらによく聞いてみると、物がなくなっている子はまだいて、先生に相談しても探してと言われるだけだから無駄、自分たちで探す動きも出ていました。この混乱を改善するにはどこから手をつけたらよいでしょうか。

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学用品などがなくなるのは、そう珍しくないかもしれません。落とし物箱には、消しゴムや鉛筆がいつも入っていますし、傘や水筒まであります。確かにうっかり置き忘れたり、しまい忘れたりしたものがそのままになり、置き去りにされている場合もあります。しかし、中学生くらいになると、自分が置き忘れたなどについては確認済みで教師に言いに来ていたり、時には保護者とも相談の上で申告してくる場合も見られます。

「もう一度探して」「片付けはしっかり」などと言われると、自分がきちんと整頓できないから失くした、と責められた感じをもつ生徒もいるのかもしれません。いつから見当たらないのか、最後に使ったのはいつか、その時の周囲の状況なども含めていねいに聞いていくと、もののありかに、たどり着く場合もあります。物は突如消えません。

私物の管理や取り扱いには個人差があります。自他の持ち物にあまり頓着しない子もいれば、鉛筆1本でも大事に扱う子もいます。所有感覚のある子もいれば、そこにあるものを何の気なしに借りるのに抵抗感のない子もいます。なかには、貸してと言ったまま借り続けて返さない子もおり、物の管理がルーズになっていきます。いろいろな気持ちの処理がうまくいかず、ものを隠したくなってしまう子や、そこまでではなくても、ちょっといいなと思うと持っていってしまう子もいるかもしれません。

このような子がいる場合、問題につながりかねない行為を繰り返させない環境づくりという視点からも、消しゴム1個、鉛筆1本の行方を流してしまわないことが大切だと考えましょう。

「どこかに置き忘れたのでは」「片付け忘れているのでは」と軽く批判されるであろうことを乗り越えて、それでもなお、物がなくなって困り先生を頼ってきている生徒の立場にまず立って、共感のひと言をかけていけるとよいと思います。

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