【連載】これからの生徒指導と学級経営 11 生徒指導を若い教師に教える

生徒指導コンサルタント 吉田順

 

教材研究や授業方法は、若い教師に教えられます。しかし、生徒指導だけはとても教えにくいのです。実際、世の中に「生徒指導」と銘打った書籍は山のようにありますが、実際の生徒指導ではすぐに役立ちません。

なぜでしょうか。それは生徒指導の世界は、他の教育分野と違う独自性があるからです。例えば、生徒の表情から真意を読み取る、生徒の言動からうそと本当を見抜く、反対に教師のしぐさや表情で暗に共感を示す、教師の口調ひとつで考えを表す、などです。

最近は、教師の対応の仕方で親とトラブルになるケースがありますが、親の気持ちを逆撫でするような言動が原因だったりします。親の言葉から言外の意味が分からず粗雑な対応になってしまうケースもあります。こういう、理屈で教えられないものは、ベテラン教師が若い教師にやってみせましょう。生徒指導の場面に立ち会わせてベテランがやってみせるのです。それを何度か経験させたら、今度は一緒にやるのです。

最初の数回はベテラン教師が見本を見せ、徐々に若い教師中心に行います。ベテラン教師は時々軌道修正しましょう。最後は若い教師に完全にひとりでさせて、指導経過や結果はベテラン教師が確かめます。以上を簡単にいうと、「やってみせる、一緒にやる、ひとりでさせる」になります。

ベテラン教師が見本を見せながら進めていこう
ベテラン教師が見本を見せながら進めていこう

私は、荒れた学校現場で長く生徒指導を担当していたので、常に生徒指導が担える教師を育てようと思ってやっていました。もちろん、生徒指導に向き不向きの教師がいるので、向いていない教師を生徒指導担当にする必要はありません。学校にはいろいろな教師が必要です。

例えば、担任に苦情がきたとします。学年主任も兼ねているので、担任と一緒に家庭訪問します。若い担任だったり、生徒指導の経験があまりない場合は、やってみせます。親の意見や批判はまずよく聞きます。納得する点はうなずきながら聞き、聞き終わったら、親の気持ちとして同意できる点は率直に理解を示します。その上で、例えば教師側の言い分や、起きた事実を丁寧に説明します。このような流れを共につぶさにやってみせるのです。

一緒にやる段階になったら、役割分担をしておきます。例えば、事実関係、学校としての考え、今後の対応などを分担します。このような内容を1年間の積み上げで教えていきます。
親の対応だけでなく、問題行動を放課後に指導する場合も同じです。事実関係を調べる段階、事実に基づいて指導する段階、親を呼んで話をする段階など、いろいろな段階で教えていきます。

次回は、生徒指導を自ら学ぶ方法を示します。

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