【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 22 人的環境① 学び合う関係づくり

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

人的環境のユニバーサルデザインとは、子どもたちの心にアプローチし、クラスの雰囲気をふわっとやわらかくして、子どもたちが学び合うための環境や関係づくりです。

人的環境を整えれば、誰かの間違いを冷やかしたり、失敗を笑ったり、からかったり、という場面がなくなります。
誰もが「わからない」に正直になれる場を作っていくのです。「教室はまちがうところ」であり、「みんなちがってみんないい」という思いを共有できる、それが人的環境のユニバーサルデザインなのです。

その人的環境を整えるために、私は、実施に工夫がなされたソーシャルスキルトレーニング(SST)が重要な役割を果たすと考えています。SSTは、社会性や対人関係スキルを育てるのを目的としたものです。学校現場をまわっていて痛感するのは、「社会性を育てる」必要性が、特定の子どもだけにあてはまるのではなくなってきている、という事実です。

以前は、発達障がいの子のソーシャルスキルを高めるだけを考えていましたが、数年前から、それだけでは不十分だと思うようになりました。クラス全体を見渡してみると、SSTが必要なのは、その子だけでは決してないと感じています。それからは、子ども全体、つまりクラス全体の社会性を高めるために、学校を挙げて取り組んでいきましょうという提案をしています。

「U―SST」(日本標準)という教材の開発にも携わらせていただきました。道徳の時間などに、単元に合わせて指導できるワークシートを使って、クラスワイドなSSTを展開できます。いろいろな学校と協力して、援助要請スキルを培ったり、自己肯定感を育てたり、ストレス・マネジメントや自分の得意不得意の把握を行ったりしているところです。

そのプログラムが効果を上げていて、日本LD学会などでも発表させていただきました。ただし、単に形式的なSSTを実施しさえすれば、子どもに社会性や対人関係能力が身に付く、とは考えていません。SSTが実際に行われても、日常生活で応用されず、実際には機能していない事例をいくつも目にしています。

※U―SSTについては、サイト(http://www.nipponhyojun.co.jp/teacher/sst/)に詳しく掲載されています。

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