【連載】志ある教師のために 悩み続ける青年教師の物語 10 量→質→成長の流れで実力

東京都小金井市立緑小学校教諭 西野宏明

 

ある冬の日。小玉はレジェンドと呼ばれる先生の自宅にいました。レジェンドから「小玉さん。はいよ、これ」と隅が焼けたプリントの束を渡されました。
「ん?」と思って題を見ると「南中ソーラン 運動会に向けて」。びっくりしました。運動会の指導目的、指導期間中の全指導過程、毎時間の振り返り、事後の総括がB4用紙にびっしりと手書きで書かれているのです。30枚以上です。

「行事のたびに書いたよ。20年以上はやっているな」「…?!」。小玉の唾をのみ込む音が大きく聞こえました。それから小玉はレジェンドに負けまいと、圧倒的な量のレポートに取り組み始めました。
毎学期1回はレジェンドと同じことをしました。力を入れている教科の単元、国語科の朗読指導、物語文指導、運動会や学芸会、卒業式練習など大きな行事では、指導案を準備して臨むようにしたのです。

指導案に書いた内容は、行事や単元の目標、教師の願い、児童の実態、先行実践、単元計画、毎時間の略案、毎時間の到達と課題、総括です。
レポート1本でA4用紙30~50枚は書きました。毎日、構想と振り返りで1時間以上かかりました。これをやったおかげで、小玉は自信をもって指導に臨めました。まさにどこからでもかかってこいの状態です。特に思い出に残っているのが、6年生の物語文「川とノリオ」の指導です。

事前に行ったのは、辞書で語句を調べ尽くす、100回音読、見開き2ページ100発問、指導案、発問とそれに対する答え、教師の評論文を書く、です。合計枚数は原稿用紙換算で160枚です。加えて、関連書籍を20冊以上購入。教育委員会にお願いして全国の先行実践を収集、授業時数は30時間以上使いました。

子どもたちは大変熱中しました。休み時間に討論を繰り返す子がいました。家で自分の考えを書く子がいました。それでも一人残らず全員を集中させられませんでしたし、私が強引に引っ張りすぎたのは事実です。しかし、3人の子どもが自主的に原稿用紙100枚以上書いてきました。学級平均が30枚以上でした。

膨大に書き続けて小玉は大きく成長しました。この経験が雑誌原稿や単著の執筆につながっていくのです。

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