【連載】飯田稔のすばらしき教員人生 93 石の上にも三年苦節十年

■新任者歓迎研究授業

校内研究授業の回数の多い学校。筆者は、その学校に20歳代から50歳代に入るまで勤務した。校内研究授業は、赴任早々に始まる。4月に赴任して、5月か6月には「新任者歓迎研究授業」が開かれる。つまり、新任者と研究授業で歓迎してくれるのである。この授業には、校長を含めて全教員が参加参観する。

授業研究会(批評会)は、一授業に約2時間。この会では、先輩も後輩も区別なしだ。授業の構想に始まり、指導技術の細かな面まで、徹底して議論する。新任の筆者にすれば、針のむしろに座ったと同様の時間である。これが、この学校の学校(教員)文化かと思いつつ、猛烈な学校に赴任したと感じたのである。「石の上にも三年」というけれど、慣れるしかないかとも思った。

■個を強化すること

この学校のいい点は、授業研究には先輩と後輩の区別がないことである。ただし、授業研究については、独立独歩である。共同立案、立案研究会などは一切ない。そして、指導案ができると、一行一言について吟味することになる。冷汗三斗の場面である。だから、指導案を立てるときの苦労が、どれほどであったか。いまもその頃を思い出すことがある。

それと同時に、こうした体験を通して、教師一人ひとりの力を高めることができるのではないか。こんなことを書くと、昔と今は違うという人もいるだろう。学校は、チーム力だといいたいだろう。でも、チーム力は、個が強化されていてこそ可能なのでないか。

■10年たって独り立ちか

来る年も来る年も、各学期に授業研究会が設けられている。「石の上にも三年」「苦節十年」という言葉もある。ここでの10年があって、ようやく独り立ちした感じである。そうでなければ、40歳代以後の、さまざまな活動活躍はなかったのではないだろうか。

新任者研究授業に筆者自身が出合ったのは、教職4年目である。4年目でこうした体験をしたことが、その後の教職生活にとって貴重であったと思う。こうした思いを、いま、どれほど分かってもらえるか。昔語りでしかないのかと……。

(元公立小学校長、千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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