タブレット端末を駆使 工夫して分かりやすく伝える

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班で協力して発表用画像を編集

東京都武蔵村山市立小中一貫校大南学園第七小学校で開催された教育ICTセミナーでは、同校の研究主題である「児童がすすんで授業に参画するための、タブレットを活用した授業の工夫」に沿って、全学年の取り組みが公開された。5年1組では押本絵里教諭が、体育科の保健領域の授業を展開。単元は「けがの防止」。児童らは、取材した画像を編集し、分かりやすく相手に伝える工夫をしていった。

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前時までに、けがや事故が起きそうな校内の危険箇所(ヒヤリポイント)を児童が取材。その場所や、どのような行為をすると危険なのかを実演した様子を、画像に収めていた。

本時は、取材した資料をもとに、▽危険な場所▽そこで予想される事故やけが▽危険とする環境面の理由▽危険とする人の行動面の理由▽自分が危険を感じた経験▽危険を防ぐ方法を、班ごとに発表した。

授業は、同教諭が児童に「先生は、七小の中から、けがや事故を減らしたいと思っています」と投げかけて始まった。タブレットは、班に1台。発表で表示する画像を、マーキング機能などを使用して加工した。

発表は、タブレットの画像を、黒板に貼ったスクリーンに映し出して実施。各班がタブレットを操作しながら画像を表示し、口頭で説明を加えていった。

「校門に乗って遊んでいると足場が不安定で危険」「防火扉が死角になって、廊下の反対側から来た人とぶつかる」「右側通行を守らないと、階段で衝突する」――など、ヒヤリポイントでの危険な瞬間を実演した画像が映されたので、どのように危険なのかが一目瞭然。「昇降口で走っていると危ない」「ここに障害物がある」などの発表も、表示した画像にリアルタイムで書き込みをしていくことで、臨場感が増した。

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当日に公開された他の授業と、ICT活用の概要は、次の通り。

▽1年1組/音楽科=友達と一緒に考えた歌をリズムに乗って楽しむ。また「指またぎ」に気をつけて鍵盤ハーモニカを演奏する。指を運ぶ映像を繰り返し表示し、児童がいつでも確認できるようにした。児童の指の動きをプロジェクターに映して確認できるようにもした。

▽2年3組/国語科=様子を表す言葉について知り、言葉への興味を広げる。雨が降っている2つの動画を見て、それぞれに合う表現を見つけた。動画に「強い雨の音」「弱い雨の音」をつけ、視覚的・聴覚的に捉えやすくした。

▽3年2組/理科=身の周りで、磁石が使われているものを探す。磁石につくか、つかないか、前時までに調べられなかったものについて、実験結果を電子黒板に映し出した。

▽4年2組/社会科=自分たちの生活が、国内の他地域や世界とつながっているのに関心をもち、その場所を地図帳で見つける。クイズを出題して生産国を予想させたり、日本・世界地図を拡大表示して場所を確認させたりした。

▽5年3組/家庭科=環境に配慮した物の使い方や生かし方を理解し、実行する。これまでの活動で出たごみや、普段の学校生活で出たごみの画像を表示。また物を手に入れるとき、使うとき、捨てるときの様子を動画で見て、それぞれの場面でやるべきことを考えた。

▽6年1組/道徳=動物の命はかけがえのないものであると知り、命を大切にしようとする気持ちを持つ。1人1台のタブレットを使用し、投票機能を活用した。「飼えなくなったペットを保健所に連れていくのは仕方がない」との質問に、○・×・△で投票。学級の傾向を可視化した。またタブレットに児童が各自の意見を書き出し、教員が確認。いくつかを全体で共有した。


 

「奇跡の3週間」を経験 授業改革大きく歩みだす

同校は、平成26年10月14日から、3週間の期間限定で、東日本電信電話(株)とともに、タブレット端末と授業支援ソフトの有効性について調査に取り組みはじめた。それは、「奇跡」の始まりだった。

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それまでは、パソコン教室に移動して、インターネットで調べ学習をしたり、2台ある電子黒板を活用してパワーポイントや画像を提示したりする程度だった。

そんな同校に、調査に関わる営みが、変化をもたらしていった。

取り組みは、教員がタブレット端末の使い方を知るところからスタートした。タブレットを使用する教員が次第に増えていき、その利便性や即時性に驚いた。同時に、児童の興味や関心の高まりを実感していった。これが、授業改革に向けて踏み出す大きな一歩となった。

同校ではこの期間を「奇跡の3週間」と呼ぶ。

同社の協力で奇跡の3週間で借用したタブレット20台を、調査終了後も継続使用できることになった。普段の授業で活用する教員が増加。電子黒板も含め、常にどこかの教室でICTが活用されている状況になった。

そのような中で、東京都の「出前ICT環境整備事業」で支援を受けるのが決定。今年度は、校内研究としてタブレット活用の可能性に取り組む。

児童の中には、学習に対する意欲が低かったり、集中が持続しなかったりする子もいた。一方で、携帯電話やゲーム端末、タブレット端末を持っている児童は多く、操作の技術やICTへの関心は高かった。そこで、ICTを取り入れれば、児童の学習に対する意欲が高まるのではないかと考えた。

このような経緯から、研究主題を「児童がすすんで授業に参画するための、タブレットを活用した授業の工夫」と設定。目指す児童像を「タブレットの活用を通して、自らの考えを深め、自分なりの考えを表現できる子」とした。

これらの主題や児童像に基づき、「児童の授業に参画する意欲を高める手立て」「有効なタブレット活用の仕方や場面」を視点に研究。授業でのタブレットの活用形態を、使用台数にならって「TBー1(全体で1台)」「TBー2(2人以上のグループに1台)」「TBー3(児童1人に1台)」と分割し、各形態での効果の違いなども検証していった。

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