学習支援カードなどの手立てで 情報活用能力育む授業づくりを

学習支援カードについて説明する木村教諭
学習支援カードについて説明する木村教諭

日本教育工学協会(JAET)は、「子どもの能動的な学びを支える情報活用能力育成とICT活用」をテーマに、「教育の情報化」実践セミナー2016 in大阪を大阪教育大学天王寺キャンパスで開催した。小・中・高校の教員、教委、教育センター関係者、教員志望の大学生、大学院生を対象に実施。「教育の情報化」の実践動向を理解するとともに、その発展を支えるICT機器や教育システム、デジタルコンテンツの活用事例を共有した。

セミナーではまず、豊田充崇和歌山大学教授が「情報活用能力育成のための授業づくりとその評価方法」をテーマに基調講演。自身の中学校教員経験から、「自ら課題を発見し解決する力を育てるには、インターネットやPCを、知識を得る単なる道具としてはならない。これらを活用して情報を共有し、蓄積し、コミュニケーションや表現を広げる手段とする情報活用能力を育成することが大切」と指摘した。

また、PISAのデジタル読解力調査で「マルチメディア作品を上手に作ることができる」の項目が、日本は調査国中で最下位だった点にふれ、「能力がないからではなく、情報活用能力を学ぶ機会が与えられていないからだ。この能力は、すぐには成果があらわれない。問題解決のためには、子どもたちがアクティブ・ラーニングができるICT環境を整備し、情報活用能力を磨くことを中心にしたカリキュラム設定が重要」と述べた。

文科省も昨年3月、「情報活用能力調査」の結果を踏まえ、課題や指導改善のポイントをまとめた「21世紀を生き抜く児童生徒の情報活用能力育成のために」という冊子(http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/shidoujirei.pdf)を出している。

同教授は「この冊子で注目したいのは『調査の結果から分かった情報活用能力の課題』と題した10項目の課題一覧。これらは、学校現場でできていない順に並んでいる」と指摘し、意識すべき課題を明示した。

この後、参加者はグループで、文科省の情報活用能力調査問題に実際に取り組み、同教授から指摘された課題を再認識した。

基調講演後に行われたブロックセッションでは、視覚化、焦点化、共有化を念頭に、文章構成を捉えさせる小学校国語デジタル教科書(光村図書出版(株))を用いた授業実践、情報モラル教育の実践、ICTを活用した21世紀型スキルの育成など、多様なテーマで発表が行われた。

この中で、「明日からできる教科の中での情報教育―児童が主体的に学習を進めるための『学習支援カード・情報ハンドブック』の活用実践について」をテーマに発表した京都教育大学附属桃山小学校の木村明憲教諭は、情報活用能力の3観点8要素の中の「情報活用の実践力」に焦点をあてた。「グラフを読み取り文章と結びつけて解いていく問題は、日頃から情報活用の実践を行っていないとできない。子どもたちが情報活用の実践を行うには、まず、紙の上でどれだけうまく対応できるかから考えていくのが重要」と指摘した。]

学習支援カードは、問題解決的な活動の流れを踏まえ、「集める」(情報手段の選択、情報の取り出し、情報の整理)、「まとめる」(情報手段の選択、表現方法の選択、表現の工夫)、「伝える」(情報手段の選択、表現の工夫、交流の方法)の3項目を軸に構成され、チェック項目が作られている。教科学習の中で使えて、いつでも参照できて、わかりやすく、親しみやすいものにしたという。

またそれを補うものとして「情報ハンドブック」を作成。「学習支援カード」と同じく「集める」「伝える」「まとめる」の3項目を軸に構成した上で、各項目に写真や説明を吹き出しで載せ、児童らがいつでも参照できるように、具体的に何をするのか、どう対処すればよいのかを明確にした。この2つのツールを連携させ、活用のサイクルを確立することで、教科学習の中での情報活用能力を高めていった。これらを、学校の授業と家庭での自主学習に活用することで、児童、教員、保護者が学習の進め方について共通理解を持つことができた。同教諭は、「子どもたちが見通しをもって学習できるようになり、大きな学習の流れを把握して取り組むことが大切」とポイントを指摘した。

同協会URL=http://www.jaet.jp/