知識とともに自尊感情育てる 薬物乱用防止で要に

学校と関係機関で連携を
日本学校保健会事業報告会

「薬物乱用防止教育には、自尊感情を育てるのが有効」――。西岡伸紀兵庫教育大学大学院学校教育研究科学校心理・発達健康教育コース教授は、さきごろ都内で開かれた平成27年度日本学校保健会事業報告会の「これからの学校における薬物乱用防止教育の在り方」をテーマとしたシンポジウムで、「飲酒、喫煙、薬物のいずれも、している割合は顕著に下がっている。これは教育の成果」と評価。今後は、知識にとどまらず、自尊感情や規範意識を育てるといった多面的な教育が必要とした。

薬物の誘いを断る技術や自尊感情が話題に
薬物の誘いを断る技術や自尊感情が話題に

西岡教授は、「今後、薬物乱用防止教育は、発達段階に合わせて指導していくべきだ。その際、自立した市民を育てるのを目的とし、意思決定能力やライフスキルを身に付けられるようにするべきだ」と発言した。

フロアの高校養護教諭からは、「保健室でいろいろ話しているうちに『先生、内緒だよ』と言って、アルバイト先でお酒を飲んだ、クスリをやってしまったなどと打ち明けられる場面がある。どのようにフォローしたらいいのか」との質問が出された。

北垣邦彦東京薬科大学薬学部社会薬学研究室教授は、「大人を信頼できない高校生が、養護教諭だけは信頼できると話してくれるのだからジレンマだ。とはいえ、薬物の背景には非社会的な組織や犯罪があるので、放置すると状況は悪化する。自分ひとりで抱え込まないで、管理職と相談し、精神保健センターなどと連携しながら解決してほしい」と助言した。

また中学校教諭、教頭、校長経験がある並木茂夫(公財)日本学校保健会事務局長は「中学生を見ていると、薬物に関する知識はあるので、断る勇気はある。ただ、断る技術がない。相手に悪い印象を与えないで断る術がないと結果的に『ノー』とは言えない」と危惧した。

「ロールプレーをさせると、初めのうちは断っても、何度も誘われるとがたがたになっていく。知識だけでなく、地に足が着いた指導が必要」とし、さらに「自分はどうせだめだと自らを捨てていると、誘いに乗ってしまう。自尊感情がなによりも大切だ」指摘した。

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