【連載】これからの生徒指導と学級経営 12 学校には3つの無駄が必要

さまざまな雑談から生徒指導や学級経営力が高まる
さまざまな雑談から生徒指導や学級経営力が高まる

生徒指導コンサルタント 吉田順

 

生徒指導や学級経営には、いろいろな学び方があります。本、先輩から、研修会や研究会に参加して学ぶ、などです。

私が若い頃に一番学んだのは、自分の周囲にいる同僚との雑談からでした。放課後でたまに会議がない日、職員室の隅のソファーで雑談したものです。

雑談といっても、やはり教師なので、結局、教育談義や子どもの話になります。さまざまな個性と特技をもつ先生がいて、「ああ、そういう考えがあるのか」「あの子はそういう面もあるんだ」などの新しい発見がありました。時には、激しい議論も起こりました。

しかし、学校現場では、会議が増えてきました。職員室からソファーなどが撤去され、パソコンが並ぶようになってしまいました。いつのまにか教育談義をする場もなくなり、放課後は会議かパソコンに向かう姿が普通になってしまいました。

ある地方都市の女性教師は、「何年か前から、放課後の職員室では雑談が消え、パソコンに向かってキーをたたく音しか聞こえない。『あの先生はいくつくらいで、子どもはいるのだろうか』『保育園に困っていないのだろうか。クラスはうまくいってるのだろうか』など、話しかけにくく、教師同士で何も知りません。そのため、何か困っていても、助けようという気が起きないと思う」と嘆いていました。

いま教師は、支え合わなければ、学校が抱える困難に立ち向かえません。

私は学校には3つの無駄が必要だと思います。それは無駄な空間、会議も何もない無駄な時間、無駄な世間話です。

私は前回の連載で、生徒指導は教えにくい分野だと書きました。そして、生徒指導や学級経営は、この3つの無駄を通じて自ら学ぶのが最適なのです。

先輩教師と「先生の学級はいつもきれいですが、そのコツは」「あのA君が最近、授業に一生懸命です。どんな指導をしたのですか」「先生の学級はいつも合唱がうまいけど、指導の仕方を教えてください」などと雑談しながら、指導のアイデアを盗む格好の場でした。まさに、生きた研修会です。

どの学校にも各分野のプロがいました。学級経営、文化祭の物づくり、生徒会活動、学級通信のプロなどです。こんな身近のプロを生かせないのは、3つの無駄をなくして効率よく学校を運営しようとするためです。教師の間に人間関係がなければ、支え合いも学び合いもうまくいきません。

1年間、お読みいただき、ありがとうございました。(おわり)

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