【連載】こころ元気エクササイズ 若手教師編 第60回 モチベーションのメカニズム

メンタルトレーナー 加藤史子

 

WANTSイメージでやる気を

「どうしてこの子、いくらいってもきかないのか」「どうしてやる気を出せないのか」と思うときはありませんか。人は理屈では動きません。「このやり方でやりなさい」と言っても動かない人もいます。動かないと「まだわかっていない」と思って理詰めにしていく場合もありますが、相手はますます反発するようになります。望みとは逆の現象に陥ってしまうのです。人は理屈で動くのではなく、欲求を満たしたくて行動するものなのです。
そこで、モチベーションのメカニズムを知り、子どもが自ら動きたくなる働きかけの方法を示そうと思います。

グラッサー博士(精神科医、アメリカ)は誰にでも本来5つの欲求があると言っています。それは、(1)愛され、人と関わりたい愛と所属の欲求(2)勝ちたい、達成したい、自己価値を感じたい力の欲求(3)自分で決めたい自由の欲求(4)楽しみたい、学びによって知的好奇心を満たしたい楽しみの欲求(5)安全安心を感じていたい生存の欲求です。

この5つをどのように満たしていけるのかという具体的なイメージが明確になっているときに、人は自分から動きたくなるのです。
モチベーションは、欲求が満されるときに高まり、疎外されるときに低下するのです。

欲求が健全に満たされていないと、不健全な満たし方でも欲求を満たそうとします。それがいじめ、上にはむかう、たてをつく、人を責める、メンタル不全、問題行動を起こすなどにつながっていくのです。
どうやってそれぞれの欲求を満たしたいのかは、人によってまったく違います。望んでいる姿には個人差があるのです。人それぞれが望んでいるイメージをWANTSイメージと呼んでいます。質問を使うことで、相手が望んでいるWANTSイメージを明確にしていくことができます。

「何をしているときが楽しい?」「どんなとき、もっとも生きがいを感じる?」「いままでもっとも熱中して物事に取り組んだことは何?」「人間関係において他人とどういう関わりをしたい?」「座右の銘や好きな言葉は?」
これらの質問は、今までどうやって欲求充足をしてきたのかという成功パターンがわかる質問です。

「1年後どうなりたい?」「勉強や部活を通して何を実現したい?」「人からどのような人間だと思われたい?」「クラスでどのような存在でありたい?」「みんなからどのように評価されたい?」
これらの質問は、これからどうやって欲求充足をしていきたいか聞かれて、話しているうちにイメージできる質問です。

WANTSイメージは最初から鮮明ではないため、自分が何を望み、どうなりたいのかを知るために、質問を使って明確にしていくのです。WANTSイメージは、情報に触れていないと新しいイメージは起きないもので、心地よい情報がWANTSイメージになり、不愉快な情報はWANTSには入りません。
どんな情報に触れてきたのかが、人生を作っていきます。子どもが憧れるような情報に触れるようにするかが大切です。

子どものWANTSイメージを明確にしながら、やる気を引き出してあげてほしいと思います。

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