【連載】若手教師講座 教材研究の達人を目指そう 第11回 算数 初級編3

監修 (一財)総合初等教育研究所 梶井貢

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既習を生かして課題を解決
ALの視点で複合図形の求積を
ポイント1
自分たちの設定した数値で解決しよう

課題で用いる数値には、その授業のねらいがあります。

例えば、第3学年「かけ算の筆算」では、第1時は12×4といった繰り上がりの出ない数値を扱い、第2時は24×3といった繰り上がりの出る数値を扱います。繰り上がりのない筆算を授業でやりたい場合には、12×6のような数値を扱うことはありません。それは、繰り上がりが出てくるような数値を扱ってしまうと、授業のねらいである繰り上がりのない筆算の仕方に児童が着目できなくなることも考えられます。

このように、算数では数値の設定により授業のねらいから外れてしまう場合もあります。しかし今回はそれとは別の、児童が自分たちで数値を設定する場合を紹介します。

今回、第6学年「円の面積」で、複合図形の面積の求め方を扱いました。多様な方法で円を含む複合図形の面積の求め方を考えます。ここでは、求めたい面積の図形をどのように捉えているのかを共通理解できる場面を扱います。複合図形は児童にとっては複雑ですから、計算であまり難しい数値を扱いたくないのが本音です。

けれども、今回は1辺の長さを児童が決める場面を設定しました。その理由は、1辺の長さを3センチと決めて計算した後、他の長さでもBの面積の方が広いのか不思議に思う児童が出てくるからです。もしかすると、児童が授業後に、さらに他の長さの場合でもBの面積の方が広くなるのか調べてくるかもしれません。

今回、私は指導案上で4センチを考えました。それは、計算もそれほど難しくないし、円の1/4を求める児童が出てくることも考えられ、ノートに作図できる範囲だったからです。

しかし、実践を行ったクラスの児童は違いました。すぐに、10センチと全員が答えました。私は、2、3度聞き返しましたが、児童には、3.14の計算を簡単にしたいという思いがあったのです。多様な方法で円を含む複合図形の面積の求め方を考えるために、できるだけ簡単な計算にできるような合理的な方法だと感じました。

また、授業後に2人の児童が私のところへきて、「1辺がどんな長さでも必ずBが広くなるよ」と言ってきた児童がいました。その児童は、AとBにあるそれぞれの正方形が100平方センチになることに着目して、Aが50平方センチ、Bが57平方センチであることから、Aは正方形の50%、Bは57%ではないかと考え、1辺の長さをかえてもAが50%、Bが57%になるのか試したのだそうです。あえて1辺の長さを変えなかったことで、思わぬうれしい出来事がありました。

ポイント2
式と図を関連させて解決を図ろう

複合図形は、児童にとってややこしい課題です。式だけを見ても、その式や数値が何を示しているのか分からない児童もいます。しかし、求め方を考えさせると、児童はたいてい式を発表したがります。しかし、式だけを見ても、その式が何を示しているのか分からない児童もいます。今回、授業をしたクラスもそうでした。児童は式を見てすぐに「式だけじゃ分からない」と反応し、図を使う必要性を児童に感じていました。

そこで、他の児童は図をもとに説明し始めます。最初は一つの図だけで説明していました。そのうち、図からある形を引くなど、どのように計算したのか分かりやすいように説明していました。すると、「形の式だ」「形の式を使うと分かりやすい」という声が上がりました。

別の児童が上の図を黒板にかくと、見ていた児童が「あー」「分かった」と、図を見ただけで友達の考えた面積の求め方が理解できていました。しっかり、図と式を対応させて、多様な方法で円を含む複合図形の面積の求め方を考えることができていることが分かりました。試しに、どんな式になるか聞いてみると、4×4×3.14÷4=12.56、4×4=16 16-12.56=3.44、16-3.44×2=9.12と答えることができました。

[まとめ]

今回、第6学年「円の面積」で多様な方法で円を含む複合図形の面積の求め方を考える授業を例に、自分たちの設定した数値で解決すること、式と図を関連させて解決を図ることを紹介しました。これは、どの学年でも共通して実践することのできる授業のポイントです。学年や学級の実態に応じて活用していただければ幸いです。

また、今回紹介した複合図形の求積は、既習を生かさなければ解決できない課題です。これは、最近話題になっているアクティブ・ラーニングにも関わる一つの視点となります。既習事項のどの引き出しを開ければ解決できるのかを考える手立てとして、今回までに紹介したポイントも参考にしてみてください。

(担当・東京学芸大学附属大泉小学校 神保 勇児)


 

[単元について]

(1)単元名 「円の面積」

(2)単元の目標

円の面積の求め方を考え、円や円を含む図形の面積を求めることができる。
▽関心・意欲・態度=円の面積を既習の図形と関連付けて求めようとする。
▽数学的な考え方=円の半径と面積の関係や円の面積の求め方を考えることができる。
▽技能=公式を使って円の面積、円や三角形をもとにして曲線図形の面積を求めることができる。
▽知識・理解=円の面積を求める公式を理解している。

(3)指導計画(4時間扱い)
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[本時の指導略案(4/4時間)]

(1)目標 多様な方法で円を含む複合図形の面積の求め方を考えることができる。

(2)展開
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[今回の教材研究のポイント]

▽自分たちの設定した数値で解決しよう。
▽式と図を関連させて解決を図ろう。

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