【連載】特別支援教育Q&A 対応のすべが見つからず

解決像もって知恵を結集

Q 知的障害部門中学部3年の担任です。2年次に県内の特別支援学級から転入してきたT男は、小学校は通常の学級、中学校は特別支援学級、それも複数の学校を経てきています。

情緒的に不安定で自己肯定感が低く、他児とのトラブルが絶えません。好きなものはするのですが、他のものをさせようとすると、「おまえ何考えてんの!」「ふざけんなバカ!」などと暴言を吐き、寝ころんだり壁をたたいたりするなどの行動をとります。

私もT男の笑顔は好きですが、行動には腹が立つ場面がしばしばあります。また保護者は母親だけで、学校不信でクレーマーです。今後、高等部進学に向けて、どのように対応していけばいいでしょうか。

A 私たちの教育現場では、条件や場面こそ違いますが、さまざまな課題を抱える子どもたちや保護者との出会いがあります。その時その時が大切です。

当初は、ささやかな小さい問題でも、避けたり、後回しにしたりしていく度に、問題は大きくなります。それは、次に関わる人にとって大変になるだけでなく、本人や保護者にも不幸なことです。一番困っているのは本人や保護者(母親)なのです。

話を伺って、あなたの真剣さが伝わってきます。ここでは、あなたとして、また学校としてどのように取り組むかを具体的に考えてみましょう。

プロセスでは、もちろん大変さもありますが、教育者としての喜びもあるはずです。

(1)「T男の笑顔は好き」を徹底しましょう。T男のいい点は、まだあるかもしれませんが、とりあえず、「T男の笑顔は好き」を徹底するのです。
 今日は何回“笑顔”があったかをチェックします。結果は、まさにあなたの成果です。T男の自尊心を考慮しながら、「今日はいいことあったでしょ」「笑顔が素敵」などとフィードバックするのもいいでしょう。

(2)状態は必ず変化します。しかし、悪く変化するのと良く変化するのでは大きな違いです。あなた自身が“解決像”をもってください。その意味で、先の“笑顔”もその解決像の1つになります。あせらない。T男にも「よくなろう」とするエネルギーは必ずあります。それを見逃さないことです。よい変化は、保護者にも本人にも、そして友達にも伝えましょう。

(3)知恵を結集します。自分が八方ふさがりと感じても、みんなの知恵を結集すると、意外と解決するものです。この事例でも多様な問題があります。まず、管理職に実情を伝えて対応策を考えます。本人の行動の理解・障害受容などは、心理カウンセラーや医師、かつての担任などの情報も役立つときがあります。

進路・就学では進路担当の教員や特別支援教育コーディネーターの力を借りたいものです。高等部の担当者との連携も、3年生ですので欠かせません。

また保護者対応では、福祉の面から子ども家庭支援センターや児童相談所などと連携して対応することが望まれます。保護者のクレームは、T男の“笑顔”が増えるのと反比例します。まず、あなたのできることを丁寧に対応してください。

(加藤康紀創価大学准教授)

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