【連載】学び合いで実現するアクティブ・ラーニング 第1回 高校の75%がやっているとは

上越教育大学教職大学院教授 西川 純

 

ある人から「アクティブ・ラーニングをやっている高校が75.5%もあるという東京大学の調査結果(http://goo.gl/L1Z49S)は違和感がありますが、西川先生はどう考えますか?」と質問を受けました。

そこで、この調査の手続きが書いてある文章を探してみました。その結果、この調査はアクティブ・ラーニングの調査ではなく、参加型学習の調査であることが分かりました。

それによれば、ディベート、話し合い(ディスカッション)、プレゼンテーション、ブレインストーミング、協調学習、学び合い、ふりかえり(リフレクション)、自己による学習評価、作文、課題解決型学習、ケーススタディ、探究・調べ学習、プロジェクト型学習等々を全授業のうち1回でも実施したならば、参加型学習やったことになるのです。そして、その判断基準は、生徒の思考が活性化しているかいないかなのです。(意味合いは「高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する実態調査2015第一次報告書」(http://manabilab.jp/wp/wp-content/uploads/2015/12/1streport.pdf)の4ページに)

つまり「高校での授業では生徒の思考プロセスが活性化している授業は皆無である」という前提に立つ人は『「アクティブラーニングに取り組んでいる教科がある」と答えた高校は実に75%に上り、多くの学校で取り組みが広がっていることがうかがえます』という解釈をします。(文科省はアクティブ・ラーニングと表記しているのですが、中黒を消しています。意図的なものか否かは不明です)

ところが、私に質問した人は、「ディベート、話し合い(ディスカッション)、プレゼンテーション、ブレインストーミング、協調学習、学び合い、ふりかえり(リフレクション)、自己による学習評価、作文、課題解決型学習、ケーススタディ、探究・調べ学習、プロジェクト型学習等々を全授業のうち一回でも実施」するくらいは当たり前であると考えており、アクティブ・ラーニング云々を言うのであれば、それよりも先のことを言っているんだろうと考える人には75.5%は信じられないという解釈になります。

この種の誤解は、調査の手続きを調べないと分からないものです。

この調査は高校がどのレベルでアクティブ・ラーニングをとらえているかを明らかにする貴重な調査であるのは確かです。とにかく、アクティブ・ラーニングが何であるかと言葉の定義をしなければならないのは確かです。

教育に、分かっているかのように「学力」「興味・関心」「自然を愛護する心」「基礎的・基本的」等々が、未定義の言葉のままあふれています。それをおのおのの思惑で使うのですから、混乱が生じるのは当然です。しかし、アクティブ・ラーニングは定義があります。少なくとも学校教育に関しては。ただ、知らない人が多すぎます。

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