【連載】今なぜ?ピア・サポートか 1 関係性喪失時代に関係を再構築

4、5人でピア・サポートをトレーニング
4、5人でピア・サポートをトレーニング

静岡県立浜松江之島高校教諭 山口権治

 

◇教育的課題◇

不登校・いじめが社会問題となって長い時間が経過しました。

しかし、文部科学省によると、平成25年度に学校を長期欠席(30日以上)した小・中学校の児童生徒のうち、「不登校」が理由であるものは約12万人で、6年ぶりに増加に転じました。

また文科省の調査を朝日新聞が分析したところ(昨年3月31日朝刊)、新たに不登校になった小・中学生が26年には6万5千人に上り、20年前から倍増しています。

いじめについても、全国でいじめが原因とされる自殺が後を絶たないなど、現在も解決を見ておらず、このような状況の中で、平成25年9月28日に「いじめ防止対策推進法」が施行され、それに基づき、各学校でいじめ防止のための組織作りが行われているところです。

不登校・いじめの原因はさまざまに考えられますが、この問題の根底には、人間関係に煩わされることなく、インターネット等から簡単に答えを得ることができるという「関係性喪失」の時代ともいえる現代の世相があると、筆者は考えます。

実際、家庭基盤が脆弱で日常生活に疲弊しており、人とつながるのが面倒くさくなっている子どもや、登校してもすぐには教室に入れず、まずは保健室に顔を出す子ども、さらには、自分と気の合う教員と話すことで気持ちを和らげてから教室に入る子どもが少なからず存在しています。

このように、人間関係を築くこと、特に、互いが助け合うような「つながり」を持つことが難しい現状が見られます。この人間関係の希薄さが、不登校・いじめの大きな要因となっていると思われます。

◇なぜピア・サポートなのか◇

そこで、つながりのない希薄な人間関係の糸を紡いで太くし、良好な人間関係を構築することが、不登校・いじめを減少させる効果的な方法だと筆者は考えました。その方法の一つとして、ピア・サポートがあります。

ピア・サポートとは、ピア=「仲間」、サポート=「支援・援助」つまり「仲間による支援」を意味し、子どもたちが相互に支え合う活動を指します。ここで、筆者の勤務校において新入生を対象に実施した、生徒理解のための「Σ検査」の結果によると、生徒らが相談相手に選ぶのは、8割近くが友人でした。

そこで、ピア・サポートを導入して、生徒たちに効果的に相談を受ける方法を教え、それによって生徒同士が相談し合える環境を作ることができれば、生徒のコミュニケーション能力の向上、ならびに、良好な人間関係の構築が期待できると考えられます。

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