【連載】特別支援教育Q&A ユニバーサル授業への苦情

学習の目的を明確にして

Q 新卒3年目、小学校2年生の担任をしています。みんなが学べる授業をめざして、板書をノートに写すことが困難な子には、個人的にデジカメやタブレットを使用させたり、聴覚過敏な子にはヘッドフォン型のイヤーマフを装着させたりして授業をすすめています。

先日、授業参観のとき、保護者の方から「子どもはみんなタブレットを使いたい。一部の子どもだけに使わせるのは不平等」との苦情がありました。また管理職からも、「障害の診断を受けていない子どもに使わせるのはどうか」との指摘も受けました。私としては、ユニバーサルデザインの授業で当然のことと思っていたので、心外でした。どう対応したらよいでしょうか。

A あなたが通常の学級で、積極的にユニバーサルデザインの授業に取り組んでいることに共感します。平成26年には「障害者の権利に関する条約」が批准され、この4月には、いわゆる「障害者差別解消法」が施行されました。インクルーシブな教育の具現も加速度を増すでしょう。現在の学校教育における授業なども、一人ひとりの子どもの教育的ニーズに応えて、さまざまな面で工夫・改善する必要があります。それらを踏まえて、現実の学校教育現場で心しておきたい点を考えてみましょう。

(1)まず、どのようにして対象児の「学び」を保障するかです。文科省では、発達障害などの合理的配慮の例として「コンピュータ」「デジタル教材」の確保や「板書」「メモ」などの情報掲示を挙げています。

しかし、それはICT機器や特別な教材・教具を使うのが目的ではありません。対象児が学習の目的を達成するために、それらの活用が有効な場合があるということで、あくまでも手段の一つであると認識したいものです。

このように考えると、保護者の「子どもはみんなタブレットを使いたい。一部の子どもだけに使わせるのは不平等」との考え方は、タブレットなどを使うこと自体が目的になっているように思われます。クラスの子どもたち一人ひとりが目的を十分に意識して学習することが大切です。

例えば、他の児童もタブレットが必要なときには使えるルール作りをする。また今日はフリーハンドのよさを生かして(タブレットなし)で学習をするなどをすると、子どもたちは自然に、学習目的を意識するようになります。

(2)次に、「障害の診断を受けていない子に使用させるのはどうか」との管理職の言葉ですが、「特別支援教育はすべての児童生徒を対象とする」という趣旨からいうと、消極的な意見と思います。しかし、これはチャンスです。現実に医師の診断がなくても学習に困難感のある子どもが通常の学級に多く在籍している事実は、ほとんどの管理職が実感しているところです。

そこで、この困難感に視点を当てて授業をするのです。先にユニバーサルな授業があるのではなく、一人ひとりの子どもの困難感に対応できる授業づくりがあるのです。

これからのあなたの実践に、エールを送ります。

(加藤康紀創価大学准教授)

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