【連載】若手教師講座 教材研究の達人を目指そう 第12回 理科 初級編3

監修(一財)総合初等教育研究所 梶井貢

主体的・協働的な問題解決
他者との理解を深めながら

次期学習指導要領の改訂に向けて、新しい教育の方向性が示されています。中でも資質・能力を育むための指導法の一つとして、「問題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(アクティブ・ラーニング)」の意義なども提起されました。

今回は、主体的・協働的な学びにつながる理科学習について説明していきます。

予想や仮説に合わせて実験方法を考える
予想や仮説に合わせて実験方法を考える

ポイント1
主体的問題解決になるよう指導計画を工夫する

主体的な問題解決を進めていく上で、どのように授業を展開していくかは重要なカギになります。子どもたちの実態やどんな力を身に付けさせたいかによって展開の仕方も変わってくることでしょう。

例えば、予想ごとのグループを作り、その予想や仮説に合わせて実験方法を考えて問題を解決していくのか、あるいは予想や仮説について順番に解決していくのかなど、さまざまな追究の仕方が考えられます。

本単元「振り子の動き」の学習ではどのような展開が考えられるでしょうか。

「振り子が1往復する時間は、何によって変わるのだろうか」という問題に対して、「おもりの重さ」「振り子の長さ」「振れ幅」の三つの要因が考えられます。

まず、予想ごとにグループに分かれて実験を行う場合です。予想ごとに実験方法を考え、実験に取り組むことは主体的な問題解決につながります。ここで重要なポイントは、自分が実験を担当していない内容についてどのように交流し、共有できるかです。

例えば、次のようです。

◇他のグループに行き、実験を見る。
 ◇他のグループに行き、実験を試す。
 ◇それぞれのグループから一人ずつ出て、グループを作り、お互いに実験の内容を伝え合う。
 ◇全体で発表し合い、共有する。

他にいろいろな方法が考えられますが、これらの方法をもとにして話し合いを進めていきます。交流する際には、タブレット端末を利用すると、より実感することができるでしょう。自分たちの実験内容をどのように伝えたらよいのか、また伝えられた内容をもとにどのように解釈していくのか、大切な資質・能力を育むことができるとともに、協働的な問題解決につながります。

次に、三つの要因について一つずつ実験をしていく展開についてです。

どの要因から取り組んでいくのがよいでしょうか。いろいろな考え方があるとは思いますが、「振り子の長さ」から取り組むと、その後の展開がスムーズになることが考えられます。なぜならば、「振り子の長さ」については、データの数値を見て明らかに要因かどうかがはっきりするからです。次に「おもりの重さ」「振れ幅」を調べたときとの違いが実感できることでしょう。

この展開の場合、しっかりと実験に取り組めるので、実験技能については十分に習得できることと思われます。自分が予想や仮説を立てていないものについても取り組むことになるので、主体的な問題解決になるよう工夫が必要です。

表やグラフにすることで分かりやすくなる
表やグラフにすることで分かりやすくなる

ポイント2
実験結果を視覚化し、全体の傾向を知る手がかりに

それぞれのグループの実験結果をどのように発表したり、交流したりしていますか。一つずつ発表を聞いているうちに、思った以上に時間がかかってしまったということはありませんか。表に数値を書き入れたり、言葉だけによる発表を聞いたりしても、なかなか理解するまでには至りません。

そこで、表やグラフにして、視覚的に分かりやすい方法で表します。「振り子の動き」では、目盛りのついたグラフに、グループごとの結果をシールで貼っていき、その散らばり具合で傾向をつかむことができます。これをもとに考察します。

[まとめ]

主体的・協働的な学びにつながる理科学習について説明しました。小学校理科では、今までも、問題解決のプロセスの中で取り上げてきているのではないかという意見もありますが、ここで、今までの理科教育についてもう一度見直し、新たな教育の考え方についてどのように取り入れていったらよいのか考えてみることが大切だと思います。

自然と向き合い、自分の予想や仮説にこだわりをもって追究する子どもに育てたいと考えます。そして、子どもが他者との理解を深めながら主体的・協働的に問題解決をしていく中で、汎用性のある資質・能力を育んでいきたいと考えます。

(担当・東京都多摩市立多摩第二小学校 坂野真貴子)


 

[単元について]

(1)単元名  「振り子の運動」

(2)単元の目標

振り子の運動の規則性について興味・関心をもって追究する活動を通して、振り子の運動の規則性について条件を制御して調べる能力を育てるとともに、それらについての理解を図り、振り子の規則性についての見方や考え方をもつことができるようにする。

(3)単元の指導計画(7時間)

・1往復する時間がちがう振り子を見て、何によって時間が変わるのか話し合い、問題を作る。
 ・振り子が1往復する時間は、振り子の長さ、おもりの重さ、振れ幅のいずれの条件が関係しているのか、予想や仮説をもつ。
 ・実験の計画を立てる。
 ・振り子の長さ(本時)、おもりの重さ、振れ幅を変えて、振り子が1往復するときの時間を調べる。
 ・1往復する時間が1秒の振り子を作る。

[本時の指導 略案(本時3/7時間)]

(1)目標 振り子の運動の変化とその要因を関係付けて考察し、自分の考えを表現している。

(2)展開

[今回の教材研究のポイント]

▽主体的問題解決になるよう指導計画を工夫する

▽実験結果を視覚化し、全体の傾向を知る手がかりに

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