【連載】今なぜ?ピア・サポートか 2 人とつながっての成長が強み

協力と課題解決を体験的に学ぶ「人間マシーン」
協力と課題解決を体験的に学ぶ「人間マシーン」

静岡県立浜松江之島高校教諭 山口権治

 

◇3つの「つながり」

ピア・サポートの強みは、子どもたちが「つながる」ことによって成長するところにあります。つながることによる成長とは、(1)人を助けて人と「つながって」成長する(2)人に助けられて人と「つながって」成長する(3)ともに楽しいことや問題解決をして人と「つながって」成長する、の3つです。

(1)については、特段の言及は不要だろうと思います。(2)については、自己肯定感が低い子どもやプライドが高い子どもは、「こんなことで人に助けを求めると、笑われたり、ばかにされたりするのではないか」と考えてしまい、助けを求めることができない傾向にあるといわれています。

その一方で、ある調査によれば、いじめの傍観者たちは、いじめを止められなかったことに対して不安や無力感・罪悪感を感じ、その結果、自己肯定感が低下してうつになるという結果が示されています。

さらに、このような問題が大人になっても影を落とし、社会性の低下をもたらすことが分かってきました。いじめ被害者がいじめを受けたとき、もしも他者に助けを求めていれば、助けを求められた側は被害者を救えたかもしれません。

つまり、助けを求めた側は被害者にならず、助けを求められた側は傍観者にならずに済んだ可能性があります。そうなれば、助けを求めた側も、求められた側も、負の影響を受けずに済むわけです。

そして(3)については、部活動を例に考えれば、辛いながらも目標に向かって仲間とともに汗をかくことによって、本人も仲間も成長することは、想像に難くないでしょう。また協同学習に基づく学習活動を例に考えれば、仲間とともに学び合い、仲間と力を合わせて課題を解決することで、互いの学びは深まり(つまり、成長し)ます。

◇その方法は?◇

しかしながら、他者と良好な関係で「つながる」ためには、他者と上手に関わるためのコミュニケーションスキルが必要になります。そこで、生徒対象に前述のピア・サポートの強みを発揮させるべく、コミュニケーションに関するトレーニングを実施します。

具体的には、参加希望者を募り、年度を通じて、放課後の約1時間、合計10回にわたり「ピア・サポート・トレーニング」として実施しました。

このトレーニングは、(1)内容・感情の理解・伝達を目的とした「コミュニケーション訓練」(傾聴・アサーショントレーニング)(2)自分がカウンセリングを行う立場となって、内容・感情・願い・方法の検討を学ぶ「問題解決スキル」(3)自分が仲介を行う立場になって、当事者同士の合意形成・契約・内容・感情・願い・方法の検討を学ぶ「対立解消スキル」という3つの柱で構成されています。

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